質感と性能が高いバイオZ、使い心地で選ぶ人が買い
最新モバイルノートレビュー
進化するモバイルノートで今、選ぶべきモデルは何か。主要メーカーのモバイルノート4機種を取り寄せ、1機種ずつビジネス用途の視点から試用した(評価のポイントは以前の記事「モバイルノート選び、必ず確認すべき5つのポイント」も参考にしてほしい)。テストしたのは「レッツノートCF-SZ5」「LAVIE Hybrid ZERO HZ330/DAS」「Surface Book」「VAIO Z」の4台。今回は「VAIO Z」を取り上げる。
個性的なパソコンで人気を得てきたVAIOブランドの旗艦モデルとなるのがノートパソコン「VAIO(バイオ)Z」だ。画面が反転してタブレットに変わる「フリップモデル」と一般的なノートパソコンとして使う「クラムシェルモデル」があるが、今回はクラムシェルモデルを選択し、試用してみた。
タブレットに変身するモデルと一般的なノート2機種を用意
個性的なパソコンを多く発売するVAIOのフラッグシップパソコンが「VAIO Z」だ。13.3型のノートパソコンで、「フリップモデル」と「クラムシェルモデル」の2種類がある。
フリップモデルは、画面を折り返すとタブレットとしても利用できる2in1パソコン。プロの漫画家やイラストレーターと一緒に開発したというデジタルスタイラスが付属するので、写真編集やイラスト作成といったコンテンツ制作にも利用できる。
一方、クラムシェルモデルは、通常のノートパソコンタイプ。映り込みの少ない画面や駆動時間が最大27時間と長いなど、シンプルかつパフォーマンスを重視した製品になる。
メモリーやSSD、本体カラーも選べる直販モデル
VAIO Zは量販店などで購入する標準モデルのほかに、直販サイトで購入する直販モデルがある。直販モデルはさまざまなカスタマイズが可能。標準モデルが搭載するCPUやメモリー、SSDの容量などは、フリップモデルもクラムシェルモデルも共通だ。
CPUはCore i5-6267Uを搭載する。Core i5は第6世代CoreシリーズのCPUで、従来のCPUよりも低消費電力で動作しつつグラフィックス性能が高い。直販サイトで購入できる直販モデルでは、上位のCore i7-6567Uも選択できる。
メモリーの容量は4GBで最近のパソコンとしては少ないものの、Windows 10を動かすには十分といえる。後からメモリーの交換や増設はできない。直販モデルでは容量を8GBもしくは16GBに変更できる。
SSDの容量は128GB。SSDはPCI Express 3.0 x4で接続される。高速通信規格であるNVMeに対応しており、読み書きは超高速。最大読み出し速度は1GB/秒を軽く超える。こちらも直販モデルでは、256GBと512GBに増量できるため、容量に不安を感じる場合は直販モデルを選ぶと良いだろう。
標準モデルと直販モデルではカラーバリエーションも異なる。標準モデルはブラックのみに対し、直販モデルはブラックとシルバーの2色から選択できる。また、天板に刻まれた「VAIO」ロゴが紫がかった青色(勝色)に輝く「勝色ダブルアルマイト仕様」などもオプションで選べる。
標準モデルの価格は17万9790円。直販モデルは15万6800円から選択できる。
今回試用したVAIO Zは、クラムシェルモデルの直販モデル。CPUにCore i7-6567U、メモリーに16GB、SSDに512GBといった構成で、価格は29万4300円だった。価格は高いが、CPUが高速で、メモリーの搭載量は多く、高速SSDを搭載していることもあり、Windows 10の動作は快適そのもの。ファイルコピーやソフトの起動といった操作で待たされることはほとんどなかった。
豊富なインターフェースも魅力
画面は13.3型と小型ながら、2560×1440ドットの高解像度表示に対応する。表示できる情報量が多いので、外出先で仕事をするのに便利だ。今回使用したモデルはタッチパネル非搭載だったが、標準モデルは静電方式のタッチパネル機能があり、指による操作も可能だ。直販モデルでは、タッチパネル機能無しだけでなく、低解像度のフルHD画面も選択できる。
仕様に記載された駆動時間は、搭載するCPUや液晶によって異なるが、最大27時間とほかのモバイルノートと比べてもかなり長い。一般的な使い方なら2日は充電無しで使えるだろう。
重量は1.17kgで、13.3型のノートパソコンとしては一般的だ。外形寸法は、幅324.2×奥行き215.3×高さ16.8mm。表面積はA4用紙より幅約2cm、奥行きが約5mmほど広いだけで、13.3型のノートパソコンとしては小型と感じる。厚みはたった16.8mmしかないため、カバンに入れやすく持ち運びやすい。
薄型ノートとしては左右側面に端子が豊富なのもビジネスで使う人にとって魅力だ。左側面には、HDMI端子やSDメモリーカードスロットを、右側側面にはUSB 3.0端子を備える。ユニークなのは電源アダプターにも充電用のUSB端子を備えていること。電源アダプターでスマホやモバイルバッテリーを充電できるのは面白いアイデアだ。
入力が楽しくなるキーボード
VAIO Zのきょう体は、天板やキーボードのパームレスト部分にアルミニウム合金、シャシーにカーボンファイバーを素材に使っている。天板やキーボードのアルミニウム合金素材は、金属の質感が素晴らしい。表面は梨地に加工されており、手触りが良いうえに、指が滑りにくいと感じた。
キーボードの感触もよかった。キーボードを構成する部品の加工精度を高めることで、文字入力時のノイズを低減しているという。キーストロークは1.2mmと浅く、少し固めと感じたが、高級なメンブレンキーボードのような打ち心地で、キーの入力は楽しかった。
キーピッチは19mmと広く、キー配列も無理がない。さらに直販モデルでは、キーボードの配列も選べる。通常は「日本語配列」「かな刻印あり」だが、「日本語配列」「かな刻印なし」、「英語配列」「刻印あり」のほかに、「英語配列」で「キーに刻印が全くなし」という独特なキーボードも選択できる。
タッチパッドも広く、操作しやすかった。タッチパッドの反応や指の追従性は良く、操作にストレスを感じない。誤反応はほとんど無かった。
使い心地にこだわるなら通販モデルを
VAIO Zのクラムシェルモデルは、性能の高さはもちろんのこと、きょう体の金属の質感や、打ちやすいキーボードなど魅力が満載だった。駆動時間が長いのも良い。これだけ長ければ、電源アダプターを持ち歩く必要はないだろう。ただ機能を求める場合、通販モデルでカスタマイズをすることになり、価格も上がる。予算に余裕があり、使い心地にこだわる人にお薦めのモバイルノートだ。
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(ライター 田代祥吾)
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