多くの家庭で毎朝食べられるトースト。最近は専門店が登場するなど味にこだわる人が増えた。食パンを焼くだけとはいえ、焼き方で味わいや食感はかなり変わる。おいしく焼けるトースターはどれか。専門家に評価してもらった。
焼き方進化でお好みの味に
支持を集めたのは家電ベンチャー、バルミューダ(東京都武蔵野市)の「バルミューダ ザ・トースター」。トーストは水分が抜けるとおいしくなくなることに着目。蒸気を使い「表面はぱりっと中はしっとりふんわり焼ける」(稲垣智子さん)。2位のパナソニックは「中がもちもちして日本人好み」(梶田香織さん)との評が相次いだ。ポップアップ型で1位はデロンギの「TTM020J」。パンと熱源が近く、素早く焼ける。カラフルなデザインも支持された。
今回は市販の食パンを使ったが、「トースターによって同じパンでも味は違った」(片山智香子さん)。機種によってはトースト以外の料理に使えるものもある。使い方や価格と相談しながら、自分に合った1台を選びたい。
<オーブン型>
1位 バルミューダ ザ・トースター(バルミューダ) 980ポイント
スチーム機能で外はサクサク、中はしっとり
家電のベンチャー企業、バルミューダ(東京都武蔵野市)が蒸気を使う新発想で発売したトースター。付属のカップで上部に5ccの水を入れてから焼き始めると、庫内に蒸気が充満。パンの表面を薄い水分の膜で覆い、パサパサになるのを防ぐ。トーストやチーズトースト、フランスパン、クロワッサンなど4つのモードがあり、焼く温度のパターンを使い分け、最適な焼き具合に仕上げるという。「トーストはさっくりした表面としっとりした中心部の食感のコントラストが楽しい」(石井和美さん)。トースターで焼くと焦げることが多いロールパンも「外は焦げず、中は熱々で驚いた」(片山智香子さん)。1300ワット、600ワット、300ワットで一定に焼くモードもある。(1)35.7×32.1×20.9センチ(2)4.3キログラム(3)1300ワット(4)2万4732円(5)0120・686・717 2位 コンパクトオーブン NB-DT50(パナソニック) 800ポイント
2つの加熱方法でほどよい焼き上がり
外側をこんがり焼く遠赤外線、中を温める近赤外線と2つの加熱方法を併用する。「ほどよくかりっと焼き上がる。中の水分を保ち、もっちりしたままあつあつ」(清水美穂子さん)。常温と冷凍、総菜パンなどの自動モードが充実。「庫内が明るく、焼き具合も確認しやすい」(井上好文さん)。(1)33.1×30.5×26.3センチ(2)3.3キログラム(3)1300ワット(4)1万1000円(5)0120・878・365 3位 ミラーガラスオーブントースター TS-D057B(ツインバード工業) 620ポイント
枚数・焼き色指定で自動に焼ける
調理中だけ中が見えるミラーガラス採用。トーストの枚数と焼き色を指定すると自動で焼ける。「残り時間が秒単位で確認できるのは忙しい朝に便利」(稲垣智子さん)。(1)34.0×34.0×22.5センチ(2)5キログラム(3)1200ワット(4)9000円(5)03・3663・8772 4位 コンベクションオーブン&トースター KAS-G130(タイガー魔法瓶) 500ポイント
加熱ムラなく均一に焼ける
熱風を庫内に循環させるコンベクションタイプ。トースト時は熱風を使わないが、加熱ムラが少なく均一に焼ける。「ロールパンも焦げずに上手に焼けた」(神原サリーさん)。(1)37.7×38.5×24.5センチ(2)5.1キログラム(3)1312ワット(4)1万6000円(5)0570・011101 5位 こんがり倶楽部 ET-GS30(象印マホービン) 450ポイント
一度に食パン4枚も
上下5本のヒーターで1度に食パン4枚が焼ける。枚数に応じてスイッチを切り替え、焼きムラを抑える仕組み。「焼き色が強く、耳までかりかりになった」(荻山和也さん)。(1)39.5×34×22.5センチ(2)5キログラム(3)1300ワット(4)7500円(5)0120・345135 6位 JOT-W12A(ハイアールジャパン)
上下4本のヒーターでトーストが4枚焼ける。「ロールパンも焦げずに中まで温まった」(戸井田園子さん)。(1)34×31.5×22センチ(2)4キロ(3)1200ワット(4)3500円(5)0120・865・812
7位 KOS-1212(小泉成器)
80度から260度まで無段階で温度調節できる。「トーストもロールパンも上手に焼け、使い勝手もいい」(戸井田さん)。7月下旬発売予定。(1)35×32.6×22.7センチ(2)3キログラム(3)1200ワット(4)6500円(5)0570・07・5555
オーブン型でおいしく焼くには?
・食パンは上下で生地密度が違う。上部を手前に入れて焼きむらを防ぐ
・庫内を予熱。焼き時間を短くして水分を保つ(サーモスタット機能付きを除く)
・冷凍パンは麦茶やビールを霧吹きで吹きかけて焼くと香ばしく
*トースト総合研究所の梶田香織さんの話を基に作成。
<ポップアップ型>
1位 ケーミックス TTM020J(デロンギ・ジャパン) 810ポイント
冷凍パンを焼くモード搭載
ポップアップ型トースターはヒーターに近く、素早くかりっと焼けるのが特徴だ。「中まで熱く、焼き色もいい」(荻山さん)。冷凍パンを焼くモードを搭載。「途中に少し持ち上げて焼き具合を確認できる」(片山さん)。8色あり「かわいらしいデザイン」(神戸みゆきさん)。厚さ12~24ミリに対応。4枚切りには対応していない。(1)16×27×18.5センチ(2)2キログラム(3)900ワット(4)7500円(5)0120・804・280 2位 クラシックトースター 13766JP(ラッセルホブス) 770ポイント
連続使用しても焼き加減一定
「焼き上がりが早く、さっくりしておいしい」(神戸さん)。厚さ26ミリ、市販の5枚切りまで入り、連続使用しても焼き加減が一定になる機能を搭載。「デザインも素晴らしい」(神原さん)。(1)31×16.5×21センチ(2)1.5キログラム(3)950ワット(4)6000円(5)03・5333・4447 3位 TS-D424B(ツインバード工業) 510ポイント
狭いスペースに置きやすい
パン2枚を横方向に並べて焼く。「奥行きはあるが幅が細く、キッチンカウンターなど狭いスペースに置ける」(戸井田さん)。追加焼き機能も搭載。(1)11×37×21センチ(2)1.4キログラム(3)950ワット(4)4800円(5)03・3663・8772 ◇ ◇ ◇
表の見方 数字は選者の評価を点数にした。(1)サイズ(幅×奥行き×高さ)(2)重さ(3)消費電力(4)価格の目安(7月上旬の大手量販店ウェブ価格、消費税込み、オーブン型1位はオンラインストアの直販価格、7位は想定価格)(5)問い合わせ先電話番号
調査の方法 トースターの主要メーカーに自社のお薦めの機種を挙げてもらい、オーブン型13台、ポップアップ型6台を集めて試食会を開催。オーブン型は(1)市販の6枚切り食パンを常温からトースト(2)1枚ずつ冷凍したものをトースト(3)メーカー推奨の方法でロールパンを温める――を行い、焼き色や食感、使い勝手などの観点から専門家が評価。ポップアップ型は(1)と(2)で評価した。選者は次の通り(敬称略、五十音順)
石井和美(家電レビュアー)▽井上好文(日本パン技術研究所所長)▽稲垣智子(日本パンコーディネーター協会代表)▽荻山和也(パン・料理研究家)▽梶田香織(トースト総合研究所所長)▽片山智香子(パン屋さんめぐりの会代表)▽神原サリー(家電コンシェルジュ)▽神戸みゆき(パンニュース社「B&C」編集)▽清水美穂子(オールアバウトパンガイド)▽戸井田園子(家電コーディネーター)