景色も格別 自然味わう「農園レストラン」ベスト10
自前の農園や牧場から収穫した採れたての食材を使って料理する「農園レストラン」が人気だ。近隣の農家と契約した野菜を使ったり、山谷を歩いて山菜などを採ってきたりする場合もあり、地域一丸となった取り組みにもなっている。今回は郷土の味はもちろん、近隣の村や散策も楽しめる農園レストランを専門家に選んでもらった。

夏場のだだちゃ豆絶品
「ここでしか食べることができない味。宿泊も込みで行くことをお薦めする」(山本謙治さん)、「一品ごとに手のかかり具合が見える料理が素晴らしい。夏場のだだちゃ豆の白あえは絶品」(榊田みどりさん)。(1)昼膳750円~(2)0235・25・8694、www17.plala.or.jp/e-naa/ 火曜日と毎月第3水曜日。要予約。農家民宿「農家の宿 母家」で1泊2日朝食付き4500円~。

原材料すべて地元で生産
豆腐やおからドーナツなどを作る体験教室もある。「地域の女性パワーを結集した。お母さんたちの料理のレベルは非常に高い」(斎藤章一さん)、「旬の食材の手作りにこだわった農村料理バイキングを味わえる」(唐沢耕さん)(1)バイキング大人1200円、子ども600円(2)0598・49・4300、www.ma.mctv.ne.jp/~mameya/、木曜日。

自然薯と大河ドラマで人気
築150年の古民家を改築した趣のある店内は天井が高く開放的。会津はNHK大河ドラマの舞台で、土日は観光客で混む。「建物が素晴らしく、懐石料理を基本に自然薯のおいしさを引き出している」(山際博美さん)(1)鳥待膳2500円(2)024・227・8059、www.dokko.jp、火曜日。

白壁の商家群が残る内子町。JR内子駅から車で25分の公共の宿。旬の野菜の煮物や山菜の天ぷら、水車小屋のきねで精米した「水車米」を味わえる。「石畳地域のお母さんたちが世話を焼いてくれる」(山本謙治さん)(1)夕食2500円、1泊2食付き8500円~(2)0893・44・5730、www.town.uchiko.ehime.jp/soshiki/3/isidayaminoyado.html、第3火曜日、8月14~16日と年末年始。

花やハーブがたくさんある花農場の中にある。地元農家の女性らがフランス料理店で学び、開業した。注文を受けてから採りに行く「今採り」の新鮮野菜が売りもの。「料理は一級品。併設店で売るドライフラワーなどは芸術品」(斎藤章一さん)(1)フレッシュハーブサラダピザ892円(2)0289・83・7787、hananoujou.com/、冬季(12~3月)の火曜日、年末年始。

築200年の自宅を改築。会津地鶏のだし汁をたっぷり使ったけんちんそば、みそとエゴマを混ぜた「じゅうねんみそ」を使った郷土料理「しんごろう」も味わえる。「100%のそば粉で打つ、十割そばが名物」(高桑隆さん)(1)会津地鶏けんちん蕎麦(そば)900円(2)0241・67・3522、www.uyou.gr.jp/kyouya/、火、水曜日。

三つ星のフランス料理店の支配人を務めた松木一浩さんの店。富士山麓に点在する合計約4ヘクタールの畑で自らも参加して作る60種類ほどの有機野菜のほか、地元産の肉、魚を使い、四季を感じさせる料理を提供する。(1)前菜からデザートまで5、6皿の「テロワール」3990円(2)0544・67・0095、www.bio-s.net/、火、水曜日。要予約。

レストランと民宿。築200年前後という建物は国の登録有形文化財になっている。地元の冠婚葬祭の時の法事膳を元にうどと凍(し)み大根など旬の素材でもてなす。(1)昼膳2100円(2)0229・67・6051、ww5.et.tiki.ne.jp/~amedio/、月、火曜日、1~3月中旬、農繁期など。要予約。宿泊予約は3日前まで。

JR鶴岡駅から車で7、8分。庄内平野の大規模農家が経営する。イタリアから仕入れた種で栽培した野菜を使うこだわりよう。野菜の新鮮さやピザの焼き具合の評価が高い。(1)月山高原アスパラと半熟卵のピッツァ1180円(2)0235・23・0303 www.honamikaido.co.jp/、火曜日。

昼は50~60種類の料理のバイキング、夜は長崎和牛などの焼き肉が楽しめる。デッキから眺める夕景もきれい。(1)ランチバイキング1260円(2)0957・55・5289 www.chouchou.co.jp/restaurant/、原則第3水曜日、8~10月は無休。要予約。
表の見方 数字は選者の評価を点数化したもの。施設名、所在地。(1)主なメニュー、値段(税込み)(2)連絡先と定休日。URLは先頭にhttp://をつける。記事中のリンクは掲載時のものです。休みやメニュー、価格などは変更もあり。
もぎたて安心 景色も格別

1位の「やさいの荘の家庭料理 菜ぁ」(山形県鶴岡市)は専門家の半数以上と多くの支持を得た。女将の小野寺美佐子さんは5人の子どもを育てたお母さんでもある。その経験も生かし、「食で健康をつくる」食育の考えに基づいて作る優しい味わいの家庭料理が人気だ。ランキング10店舗のなかで、5つを東北地方の店が占めた。
農園レストランは無農薬または低農薬で育てた穀物や野菜などを使うところが多い。作り手の顔が見える安心感や、忘れかけられた郷土ならではの食材や料理を生かす点などが消費者の支持を集め、各地で増えつつある。
旅行会社もこうした消費者ニーズを踏まえ、従来の大型レストランに代えて素材にこだわる農園レストランを観光地の立ち寄り場所に選んだり、食自体を目的にしたツアーを組んだりしている。
上位に入ったレストランの多くは10年前後、地道な経営を続け評価を得てきたところ。家族経営の店も少なくない。農作業に追われて休んだり、収穫できる野菜によってメニューを変更したりする場合もある。訪れるときに予約し、営業時間なども確認しておくのが望ましい。夏の旅行で近くを訪れる際には足を延ばしてみてはいかがだろう。
◇ ◇ ◇
調査の方法 レストランや地産地消の取り組み、自然農法などに詳しい専門家に、食材を自前の農園や近隣の農家から仕入れて調理するレストランを選んでもらい、お薦めの度合いで順位を付けた。自然を観賞する散策路や温泉の有無、グリーンツーリズムが楽しめるかも評価のポイントにした。選者は次の通り(敬称略、五十音順)
安倍澄子(日本農村生活学会会長)▽唐沢耕(食生活ジャーナリスト)▽金丸弘美(食総合プロデューサー)▽鎌田定宗(小さな流通研究所代表取締役)▽斎藤章一(都市農山漁村交流活性化機構専務理事)▽榊田みどり(農業ジャーナリスト)▽高井瑞枝(トータルフード・コーディネーター)▽高桑隆(日本フードサービスブレイン代表取締役)▽向笠千恵子(食文化研究家)▽山本謙治(グッドテーブルズ社長)▽山際博美(山際食彩工房代表)▽山口怜子(地熱料理研究家)
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