個性派中華そば、伊那ローメン 味は自分流に仕上げる
長野県伊那市出身の同僚と雑談中、彼が突然つぶやきました。「あー、ローメン食べたい」。
同僚によると、前後の脈絡なく無性に食べたくなるもの、それがローメンなのだそうです。
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「ローメンにはスープに入れたラーメンタイプと焼きそばタイプがあるだろう? どっちが好き?」と合いの手を入れたのが間違いでした。彼のローメン愛が堰(せき)を切ったようにあふれ出し、いつ終わるともなく話し始めたのでした。
幼いころからなじんだ地元の食べ物には、個人史や家族の記憶までが刷り込まれています。よそ者には理解できないような心理が働くようです。
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ローメンはそれ用の中華麺、マトンとキャベツが基本です。店によって味付けは様々ですが、酢、ソース、ラー油など卓上に置かれた調味料で自分好みの味付けをするのが特徴です。テーブルクッキングの楽しみが加わります。
店によっては初心者向けに「酢を○周、ソースを×周」などと標準的な味付け方法を書いた印刷物を置いているところもあります。
私は控えめに酢を1周、ソース1周、ラー油なしで食べてみましたが、いろいろ試して自分好みの味を見つけるのも一興です。
伊那市で麺類といえばローメンです。ローメンまみれの伊那市の景観をお楽しみください。
(食と旅のコラムニスト 野瀬泰申)
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