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Q:100均のType-Cケーブルでも問題なし?

最近の100円均一ショップ(100均ショップ)はType-Cケーブルを販売している(図4)。量販店なら1000円以上するような品物が100円で手に入るのはうれしいが、「安かろう悪かろう」が心配。100均ケーブルを検証してみた。

図4 ダイソーやキャンドゥ、セリアなどの100均ショップでは多数のUSBケーブルを販売している。量販店や専門店ではUSBケーブルは1000円程度はするので100円ほどの価格は魅力。実際に買っても問題ないのだろうか

注目したいのは給電能力。最大3アンペア(A)をうたう100均ケーブルで電流を計測すると約2Aだった。2AならType-Aのスペック(最大1.5A)を上回っているので及第点だ。スマホなどの充電用途なら、100均のType-Cケーブルは十分にメリットがあると感じた。

パソコンのPD対応Type-C端子と、PD対応モバイルバッテリーの接続にも使ってみた。すると電流は約2A、電圧は約20Vで、きちんとUSB PDとして動作したのには驚いた(図5)。ちなみにケーブルのパッケージではPD対応をうたっていない。PD対応をうたう60ワット(W)超のケーブルには安全上、後述する「eMarker(イーマーカー)」というICチップが必要になる。

図5 3A /5V出力をうたう100均ケーブル(USB PD対応の記載はなし)に流せる電力量を測定した。USB PD対応のモバイルバッテリーとパソコンのPD対応端子を接続したら約2A/20Vが流れた。充電用途なら及第点だ

SSDの転送速度も調べたが、こちらは論外だった。パッケージに2.0対応の記載があるケーブルとないケーブルがあるが、いずれも50MB/秒を下回る結果に(図6)。100均のTypeーCケーブルは2.0規格と考えてよいだろう。データ転送のために積極的に使う理由は見当たらない。

図6 100均の標準的なType-Cケーブルは2.0規格なのでデータ転送が遅い。パソコンとポータブルSSDをつないで転送速度を測ると、最大で48MB/秒と論外だった。出先でUSBケーブルがなくて困ったときなどを除き、データ転送で100均ケーブルを使うのは避けたい

100均ケーブルは前述したeMarkerチップを省くことで低価格を実現している(図7)。USB PDのほか、3.2 Gen 1以上ではこのチップが不可欠だ。

図7 家電量販店で販売されているType-CのUSBケーブルは、「eMarker」と呼ばれるICチップを搭載している。100均ケーブルはこのICチップを搭載しないことで製造コストを抑えている
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Q:Type-Cの周辺機器をType-A端子に挿せる?