テレワークでパソコン快適に使う メモリー16GBが理想最新パソコンスペックガイド メモリー編

日経PC21

パソコンのメモリーはどれくらいの容量を搭載すればいいのだろうか。少し前まではメモリーを4ギガバイト(ギガは10億、GB)しか搭載していないパソコンが多かったが、最新世代のパソコンは8GBがほぼ標準になりつつある。これは負荷の大きい複数のアプリを同時に使うマルチタスクが当たり前になるなど、パソコンの使い方が時代の変化とともに変わってきたからだ。

メモリー増設にはスペックの理解が不可欠

例えば、テレワークなどでオフィス文書やPDFなどを見ながら「Teams(チームズ)」や「Zoom(ズーム)」などのビデオ会議アプリを利用する場合、メモリーは少なくとも8GB、余裕を見込めば16GBが望ましい。メモリー容量が多くなれば、ワードやエクセルなどのオフィスアプリの操作も快適になる(図1)。メモリーを16GBにしても無駄にはならない。

図1 詳細は後述するが、テレワークなどで複数のアプリを同時に使用するなら、メモリーは8GB以上が必須だ。上のグラフはベンチマークソフトの「PCMark 10」でメモリー容量の違いによるワードとエクセルの処理性能の違いを計測したもの。メモリー容量が増えるとビジネスアプリの処理性能も向上する。余裕を持たせるなら16GBを選択したい

メモリーは、CPU(中央演算処理装置)がデータを効率良く処理できるように、HDDやSSD、ネットワークの情報などを一時的に記憶し、CPUに受け渡す役割を担っている。図2の通り、CPUを料理人に例えると、メモリーはまな板のようなもの。まな板が小さいと作業効率が悪くなる。メモリー容量が不足すると、パソコンの動きが鈍くなってしまうのもこのためだ。

図2 メモリーはCPUがデータを処理する際に、HDDやSSD、ネットワークの情報などを一時的に記憶する役割を持つ。CPUを料理人に例えると、メモリーはまな板のようなもの。まな板が小さい(メモリーが少ない)と料理用のスペースが減り、作業効率が悪くなる

パソコンの動きが以前よりも遅くなったと感じる場合、まずはメモリーの増設を検討しよう。

メモリーにはさまざまな規格や形状があるので、増設の際には自分のパソコンに合ったものを正しく選択する必要がある。そのためにはスペックの意味をよく理解しておくことが重要だ。

現在の主流はDDR4 SDRAM

図3はメモリーのスペック表記の例。メモリーのスペック欄には、「容量」「モジュール規格」「メモリー規格」「モジュール形状」「デュアルチャンネル対応の有無」などが掲載されている。以下、順に解説していこう。

図3 メモリーのスペックで注目すべきは、「容量」のほか「メモリー規格」「モジュール規格」「モジュール形状」「デュアルチャンネル対応の有無」。以下、これらの見方について解説していこう

現在のメモリーの主流規格は、2014年くらいから普及が始まった「DDR4 SDRAM」だ。

DDR SDRAM(ダブル・データ・レートSDRAM)は、2000年代初頭までパソコン用メモリーの主流であった「SDRAM(シンクロナスDRAM)」をベースに性能を向上させたものだ。図4の通り、SDRAMはクロック周波数に同期してデータを読み出す仕組みだ。これに対して、DDR SDRAMはクロックの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを読み出す。「ダブル・データ・レート」の名が示す通り、DDR SDRAMは、SDRAMの2倍の転送速度を実現した。

図4 現在主流のDDR SDRAMメモリーは、2000年代の初めまでパソコンメモリーの主流だったSDRAMをベースにしている。SDRAMはクロック周波数に同期してデータを読み出す仕組みだった。これに対して、DDR(ダブル・データ・レート)SDRAMは、クロックの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを読み出すことで、SDRAMの2倍の転送速度を実現している

DDR4 SDRAMの「4」は、4世代目のDDR SDRAMであることを意味している。DDR SDRAMは世代が1つ新しくなるごとに、理論上の最大データ転送速度が2倍となる(図5)。なお、次世代のDDR5 SDRAMはすでに製品化されており、2021年度中には対応CPUがリリースされる予定だ。

図5 DDR4は、4世代目のDDR SDRAMであることを意味する。DDR SDRAMの種類は表の通り。世代が上がるごとに理論上の最大データ転送速度が倍増している
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チップ規格の数値を8倍するとモジュール規格に