
眼鏡店「JINS」を展開するジンズ(東京・千代田)は2021年10月6日、内蔵センサーで心身の状態を知ることができるスマートグラス「JINS MEME」(ジンズミーム)の新モデルを発表した。センサーやバッテリーなどを小型化して1カ所に集中させることで軽量化し、違和感なく1日中身に着けられるようにした。専用アプリでは姿勢の正しさや心の安定度、作業への集中度といった心身の状態を可視化し、何か問題があるときにそれを解決するための、ストレッチや瞑想(めいそう)といった対処法も提供する。
21年10月14日発売で、12モデル用意する。価格は従来モデル発売時の半額以下となる1万9800円。ビジネスモデルを大きく変更し、本体価格を抑え、使用開始から2年目以降の専用アプリ使用料を月額または年額制で支払うサブスクリプション(定額課金)方式を導入する。専用アプリは発売日の時点ではiOS 13以降対応で、Android OSには21年11月対応予定だ。


新モデルで目指したのは、まず使いやすさだ。新モデルは、眼鏡の鼻当て部分にセンサーとバッテリーを内蔵した「コア」と呼ぶモジュールを搭載しており、こことスマホをBluetoothでワイヤレス接続する。15年11月発売の従来モデルは眼鏡のテンプル(つる)の先端にセンサーとバッテリーをそれぞれ内蔵していたため、テンプル先端が太く重かった。
新モデルのコアは重さ約6グラム。レンズを除くフレームの重さはデザインによるがいずれも30グラム未満で、一般の眼鏡とほとんど変わらない。テンプル先端にセンサーがないため、外観も一般の眼鏡そのものだ。実際に装着してみても重さや重量バランスに違和感がなく、普段使っている眼鏡と全く同じように顔にフィットした。鏡を見ても、スマートグラスを身に着けているようには見えない。これなら普段使いの眼鏡として使えそうだ。

ジンズ最高経営責任者(CEO)の田中仁氏は「かけ続けられる軽さと、生活にフィットする多様なデザインを実現した。テック好きでなくても、誰でも普通にかけられる。初代モデルは大きくてかけ心地が悪い、重いなどで、取得したデータを日常の体験やソリューションになかなかつなげられなかった。スマートグラスが無理なく生活に根付いて生活を変えることができれば、最高のユーザー体験をもたらすことができる。新モデルはその実現につながる製品」と、一般の眼鏡と変わらないかけ心地にこだわった理由を述べた。
センサーなどを1カ所にまとめたことで、デザインの自由度も増し、12モデルの展開が可能になった。センサーとバッテリーを小型軽量化すると同時に省電力化にも注力しており、バッテリー容量は従来モデルの数分の1以下ながらも駆動時間はモードによって11~24時間(待機状態では約2週間)と、1日使える長さを確保している。