最後まで聞く、説得しない…精神ケア新手法の対話術

オープンダイアローグの考え方は職場でも応用できる。(写真はイメージ=123RF)
日経Gooday(グッデイ)

従来は薬が不可欠だった精神疾患の症状緩和に、対話だけで高い効果が得られると注目されている「オープンダイアローグ(開かれた対話)」。対話を重ねるうち、患者の症状だけでなく、こじれていた家庭内の人間関係まで修復されていくことが多々あることも、その利点の一つだ。最終回は、オープンダイアローグをやってみたい方へ向けた実践編。親子間や職場でのコミュニケーションに取り入れることも可能で、特に「話がかみ合わない」「すぐけんかになってしまう」など悩みがある場合に役に立つという。具体的な実践方法や注意点などを、引き続き精神科医の斎藤環さんに伺っていく。最後のページに対話実践の基本もまとめた。

最後まで関心をもって聞き切る

――オープンダイアローグの原則は、「(相手を)変えようとしない、対話自体を継続することが目的」ということでした。この手法は、例えば親子間や職場でのコミュニケーションの改善にも使えるのでしょうか。

斎藤さん はい、使えるでしょう。抑圧されない、頭ごなしに否定されない対話の時間は、家庭であっても職場であっても必要だと思われます。

オープンダイアローグを第一線で実践する筑波大学・医学医療系教授で精神科医の斎藤環さん。

特に、話がかみ合わない、すぐにけんかになってしまう、関係が悪化しているなど、コミュニケーションにおいて悩みがある場合には役に立つと思います。対話は互いを対等な存在として行うので、親子や職場での上司と部下といった関係性をフラットにして、風通しの良いものにしてくれます。

――なるほど。離婚問題や教育問題などで夫婦が対立している場合にも、良さそうです。まず家庭で取り入れるには、具体的にはどのようにすればいいですか?

斎藤さん 基本は、互いに最後まで話をしっかり聞くということですね。その時には、1対1ではなく複数メンバーが参加するほうがいいですね。友人・知人などつながりがある人を招いてやってみてください。視点が変わって、いろいろなことに気付きやすくなります。

親子間の場合、子どもが小さいうちは特に、親子関係にはすでに力関係があります。だから第三者に入ってもらうことが大切なのです。そして子どもの話を否定しないで聞いてください。とにかく最後まで話させることを心がけましょう。

「今日はあなたの話を聞かせてもらえる?」

「よかったら、その話を詳しく教えてもらえるかな」

こんなふうに聞いてみるといいでしょう。

オープンダイアローグの手法は家庭内でも応用できる。1対1ではなく第三者に入ってもらうのがポイントだ。(写真=PIXTA)
次のページ
説得やアドバイスは対話ではない
ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント