現代世界の本質理解を助ける視点

例えば、第10章では「中央集権体制」をキーワードとして示す。ここで語られるのは「主権国家」誕生というゲームチェンジだ。主権国家の誕生によって、貴族から庶民に至るまで国家への帰属意識が希薄で国境さえ曖昧だった世界は主権国家がぶつかり合う世界へと変わっていく。ここから「産業革命」をへて「フランス革命」「総力戦」「核兵器」「インターネット」へと畳みかけていくゲームチェンジの歴史には、消費社会、自由主義陣営の理念、戦争の形態、知の解放など、現代世界の本質を大づかみに理解するテーマが詰まっていて示唆に富む。

〈ゲームチェンジに必要なものは、「発明」ではなく「実用化」「普及」〉〈ゲームチェンジが起こる要因となるのは、「大事件」ではなく、「前例のないことが起きること」〉――こんなゲームチェンジの原則を10項、局面の解説の折々に著者は差し挟む。これらの原則を参考にしながら、日ごろ接するニュースについて考えてみると、時代を生き抜く思考を養えそうだ。

「発売から2カ月ほどたつ本で突出して売れるわけではないが、ベスト20からは落ちずに売れている。地政学への関心の高さとつながっているのかもしれない」と、着任間もない店長、桐生稔也さんは話す。

『世界一楽しい決算書の読み方』に続編

それでは先週のランキングを見ていこう。

(1)非常識 社長業田口和寿著(ぱる出版)
(2)伝説の編集長が教える 会社四季報はココだけ見て得する株だけ買えばいい山本隆行著(東洋経済新報社)
(3)政官要覧令和4年春号政官要覧社著(政官要覧社)
(4)世界一楽しい決算書の読み方[実践編]大手町のランダムウォーカー著(KADOKAWA)
(5)リーダーの仮面安藤広大著(ダイヤモンド社)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2022年6月20~26日)

1位は菓子店の事業拡大に成功させた経営者が自身のビジネス思考法を説いた本。2位の本は、『会社四季報』の元編集長が「四季報」の活用法を伝授する。3位には政界・官界の人事情報をまとめた定番の人事録が入った。4位はベストセラーになった会計入門書の続編。著者はツイッターで「会計クイズ」を展開し、多くのフォロワーを持つ。クイズと会話形式の地の文から実在企業のビジネス戦略を解き明かす遊び感覚の入門書の魅力は健在だ。5位は、「識学」と呼ぶ独自の組織マネジメント理論を使って経営コンサルティングや人材研修などのサービスを提供している著者による若手向けのリーダーシップ論。20年11月刊の本で、息の長い売れ筋になっている。紹介した歴史本は13位だった。

(水柿武志)

ゲームチェンジの世界史

著者 : 神野 正史
出版 : 日経BP 日本経済新聞出版
価格 : 1,980 円(税込み)