5年後に必要とされるスキル・ジョブは

桜井:その世界潮流を踏まえてですね、逆に5年後、2027年あるいは2020年代の終わりぐらいにどういったスキルあるいはジョブが求められていくのか。あえてここで予測をしていきたいんですけど。

峯崎:今のマーケットのトレンドといいますか、近い将来実現される世界をどう予測するかという話だと思うんですけど、ドローンが進化して空の交通が変わってくるとか、VRやARなどの技術の進化で、現実と仮想現実みたいなものが変わってくるといったトレンド考えると、そのあたりの技術が求められるようになってくるだろうとは思います。

企業側ではビジネス開発や事業の共同みたいなことが増えてくると思います。つまり今までやってきてないことにチャレンジしたりとか新しく発想したりする機会は必ず増えていく。そういった時にはいわゆる汎用的に使えるスキルが必要とされます。例えば「自分の考えを相手に正確に伝える」「相手の考えを理解する」といったヒューマンスキルや、「概念化し本質を理解する」というコンセプチュアルスキルですね。そういうものも大事になってくるので磨いておいた方がいいかなと思います。

桜井:どういう需要が生まれてもそこに対応できるようにする、と……。

村上:VRとか出てきたら今の広告ってどう変わるんだろうとか、そのときに今の自分の仕事ってどうつながってくるのかなみたいなことは想像しておいた方がいいと思います。

桜井:トレンドを予測しつつ、自分の頭の中で組み合わせられる掛け算って何かを遊び感覚で想像してみるってことですね。臣さんは5年後の予測、いかがでしょうか。

全ビジネスにネット必須

村上:そうですね、いまB to CとB to Bという話がありますよね。B to Cで消費者と直接の接点を持つのはこれまでは当然対面がほとんどで、今でも日本のEC化率は20%程度と先進国の中でも低い方なんですが、コロナ禍を経てどのお店もネットとの接触を求めざるを得なくなった。要は非対面の流れやハイブリッドっていうのは、かなり不可逆的な流れになりつつあります。つまり対コンシューマーの大きな流れで言うと、もう全ビジネスがネットを何らかの形で使わないとお客さんに選ばれなくなってきている。飲食店でもデリバリーをやり始めたり、リアル店舗もあるけどもネットのショップもある、みたいな世界が当たり前になってきた。

そうなると今までリアルしかやってこなかったけども、ネットのスキルを身につけなくちゃいけない。だとしたら、わかる人を採用しなくちゃいけない、ということでデジタル・トランスフォーメーションを支援するような役割みたいなのが、多分今後3年とか5年ぐらいでもっともっと出てくるでしょうね。それが「DXサポーター」というワードなのかどうかはわからないですけど、何らかの新しい職種が、カスタマーサクセスみたいに出てくる可能性は、特に日本はあるなと思います。

もう一つメンションしておきたいのがB to Bのさらなる拡大だと思うんですね。今言ったような課題の解決に、もちろんフリーランスの方とかいろんな方が貢献していくと思うんですが、対会社でソリューションを提供するビジネスも増えてるわけですよ。要は自分ではできないことが多くなりすぎたので、誰か助けてくださいっていうところで、B to Bのビジネス、特にSaaSが伸びているわけですよね。それはもう「パッケージでこれを使えばいいです」みたいなやり方では解決できない複雑な課題になっているので、パートナーとしてずっと一緒に働くような流れになっていく。

今まではカスタマーサポートは、乱暴に言えば苦情処理係だったわけですね、でもカスタマーサクセスは、コストセンターじゃなくて、売り上げを上げる収益部門になっている。つまり顧客の成功を助けることで、分け前をもらうビジネスが増えてくると、その周辺にいろんな職種がまた生まれるんじゃないかと。

先ほど峯崎さんがおっしゃったように、いろんな技術が新しくなって「明日からメタバースのお店作るとか、全然わかんない。無理」ってなった時にそういう技術を提供してくれて、一緒に課題を解決してくれる方っていうのが、求められていくと思うんですよね。

次のページ
AIを文房具のように使えるか