2021/12/3

意識してお金を使うための3つのキーワード 

それでは、家計の三分法で使う3つのキーワードの意味を改めて確認しておきましょう。

まずは「消費」です。消費は生きるため、生活するために欠かせない支出で、普段の買い物や交通費、スマートフォンの利用料などが該当します。

次に「浪費」です。これはいわゆる無駄遣いのことを指します。私の考えでは、ギャンブルで使ったお金や借金の利息、使わないのに支払い続けている何かの会費のようなものも含みます。過剰な消費も浪費に含める場合があります。

最後に「投資」です。これは将来的に自分に返ってくるような支出やお金の動きです。「お金の動き」と書きましたのは、貯金もここに入るからです。株式などへの文字通りの投資も入ります。それだけではありません。たとえば、仕事の幅を広げるために始めた通信教育の費用や何かを学ぶための参考書代などの「自己投資」も該当します。

まずは出費する際、この3つのキーワードを念頭に置くようにしましょう。大人も子どもも、これを意識すると、お金の使い方が変わってきます。

小遣い帳を活用、子に出費を判定させる

子育て中の方は、この「家計の三分法」をお子さんによる小遣いの管理で取り入れてみてください。我が家の家族マネー会議のように、お金の使い方についてお子さんと定期的に話し合っているご家庭では、お子さんが支出を報告した際、「3つのどれに当てはまるか」を親子で一緒に考えることも有効です。

お子さんの小遣い管理で取り入れる場合は、小遣い帳を活用しましょう。使うのは「小遣い帳」と銘打った市販の専用商品でなく、普通のノートなどでもOKです。やり方はとても簡単です。以下をその都度、お子さんに書いてもらいましょう。

・いつ、いくら小遣いをもらったか

・買った日、買ったもの、金額、残高

これを記入できれば上出来です。上には便宜的に「買った日、買ったもの」と書きました。ただ、ここには「○○の動画配信の視聴費用」のような、「(サービスを)利用した日、利用した内容」といったことも書いてもらいます。お子さんの手元のお金に動きがあった場合、たとえば「お年玉をもらって貯金した」など小遣い以外に「入り」があったなら、それらも書けるとなおよいです。

継続が難しそうな場合は、日付と買ったもの・利用したサービスなど、支出額だけの記録でもOKです。そして、買い物などで支出したその日のうちに、買ったものや利用したサービスの隣に「消費」「浪費」「投資」のどれに該当するか、判定も書かせましょう。この判定は、「自分にとってどうか」というお子さんの視点によるもので十分です。

そして次の小遣いを渡す日、もしくは出費した日から少し時間が空いた日に機会を設けて、親子で話し合う場を持ちましょう。ここでは、お子さんにお金を使った時の判定から何か変わったかどうかを尋ね、変化があった場合はその理由も一緒に振り返るようにします。これを繰り返すことで、子どもなりの「軸」ができてきます。

この「軸」が育ってくると、お子さんは「お金を払うべきだ」というものと「支払わなくてもよいだろう」というものを自身で判断できるようになります。つまり、両者を分けるお金の使い方の軸になるのです。言い換えれば、金額の高い、安いではなく、自分にとって本当に必要なものかどうかを判断できるようになります。

「ゲームが欲しい」「パソコンが欲しい」……。子どもたちにも子どもたちなりに、いろいろ欲しいものがあり、それを親に伝えてくることがあるでしょう。そういう機会をとらえて、それは消費なのか、浪費なのか、投資なのか、ぜひ、その出費の意味をお子さんと話し合ってみてください。せっかく買ったゲームでも1カ月もしないうちに飽きてしまったら、それは浪費になってしまいます。こうした身近な例を挙げながら話をしていくと、子どもの判断力が養われますし、話し合いを通じて大人とはまた違う、お子さんなりの考え方があることが分かるかもしれません。

支出とは「価値」にお金を払うこと

今はモノを買わせようとする様々な誘惑があります。それでも、この三分法の感覚で支出を振り返る習慣を身につけられると、子どもも大人も後悔するお金の使い方をかなり減らすことができます。

皆さんに知っていただきたいのは、お金を使うときは出費の大きい・小さい以上に大切な注視すべきポイントがあるということです。なぜなら、モノを買うにせよサービスを利用するにせよ、支出とは、それによって得られる「価値」にお金を払うことだからです。

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我が子にみるお金の使い方、成功例と失敗例