新入社員研修も終わり、新人が現場配属された職場も多いでしょう。いよいよ本格的な仕事のスタート。最初は希望と意欲を持って職場に足を踏み入れます(写真はイメージ)=PIXTA

「報連相」は決して易しいことではない

新入社員研修では、必ずと言っていいほど「報告、連絡、相談」について教えられます。いわゆる「報連相(ホウレンソウ)」です。

研修で教えられたのですから、新人は報連相に努めます。しかし上司や先輩社員に「なぜ報連相しなかったんだ?」と叱られるケースもあります。「自分の伝え方が悪かったんだ」と反省して落ち込む新人も多いのですが、そうとは限りません。

伝わっていないのは新人のせいではなく、上司や先輩社員がきちんと聞いていなかった可能性があるからです。忙しくて余裕がなく、聞いているように見えて頭に入っていなかったのかもしれません。新人は過度に自分を責めるのではなく、上司や先輩社員がきちんと話を聞いてくれているか様子を観察してみましょう。

また新人にとって難しいのが「悪いことほど早く報連相せよ」という指示です。トラブルを早期に解消するには重要なことですが、職場経験がない新人には「何が悪いことなのか」の判断は難しいものです。

「これは言わなくてはいけないけれども言いにくい」と感じることを思い切って報告したら「大したことじゃない」と言われ、逆に大した問題ではないと感じていたことを後になって報告したら「なぜ今まで黙っていたんだ」と言われる――。これでは、新人は報連相すること自体が怖くなってしまいます。

筆者のお勧めは、「良いことか悪いことかに関わらず全てを報連相してもらう」ことです。報連相を何度も繰り返すうち、上司や先輩の反応から「何が悪いことか」がだんだん分かってくるでしょう。分からない新人には「うちの職場では何が悪いのか」を先輩社員がきちんと教えてあげましょう。

先輩社員によって言うことが違う

「先輩社員によって言うことが違う」という状況に直面する新人もいます。上司である課長と、指導役であるトレーナーの指導内容が異なると、どちらを優先すべきか悩みます。どちらかに従ったら、もう一方から「どうして言った通りにやらないの?」と指導を受けてしまいます。

自発的に何かをしたところ「余計なことはしないように」と言われた。だから遠慮していたら「指示待ち族」と言われた――そんな理不尽な経験をした新人もいます。

指導方針の食い違いはもちろん問題ですが、これらは面倒見が良い職場だからこそ起こることともいえます。こうした状況にある新人は、まずは「複数の指導役が手厚く指導してくれるからこその、ぜいたくな悩み」だと捉えてみてください。そして、人事部や部内の別の先輩社員などに相談するとよいでしょう。指導役を務める上司や先輩社員は、こうした悩みを新人に抱かせないよう、指導方針の擦り合わせを必ず実施してください。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。

[日経 xTECH 2022年4月21日付の記事を再構成]