「大手企業の管理職」は経験内容次第で転職活動に明暗

転職エージェントである私のもとにも、「早期退職制度を利用する予定」という人たちからの相談が増えてきました。

「あと10年、今の会社にいても、ある程度の安定は担保できる。しかし、思うような仕事ができるかというとそんな環境ではない。やりたい仕事ができる場所、自分が必要とされる場所で働きたい」といった相談です。

私が手がける採用案件は主に管理職以上ですので、相談を受ける人たちも管理職層が中心です。ただ、希望の転職を実現できるかどうかは、人によって明暗が分かれます。

管理職の人たちの多くは「マネジメント経験を生かす」ことを考えるかと思います。しかし、大手企業の大規模組織の中で、中間管理職だけを務めてきた人の転職は厳しいのが現実です。

「特定の専門分野×マネジメント経験」があれば、中小ベンチャーなどに転職できるチャンスもあります。でも、中小企業では「自ら手を動かす」ことも求められるので、直近で「管理」しかやっていない人は苦戦を強いられることになります。

では、大手企業の管理職でも、転職に成功しているのはどんな人か。それは、グループ会社や出向先企業などで、経営企画・事業企画・人材戦略なども含む、全般的なマネジメントを手がけた経験を持つ方。あるいは、新しい事業や仕組みを一から立ち上げた経験を持つ人です。

実際、早期退職プログラムを利用した人の転職成功事例を挙げてみましょう。大手商社で投資先企業の経営管理・事業企画・業務企画などを経験したAさん(40代後半)は、技術系ベンチャー企業にCOO(最高執行責任者)として迎えられました。所属していたのは大手企業でも、投資先の子会社で小規模ながら経営全般のマネジメントを経験したことが評価されたのです。

メーカーで営業部長を務めてきたBさん(40代後半)は、新規株式公開(IPO)を目指すテック系ベンチャー企業の営業部長に採用されました。Bさんの場合、ジョイントベンチャーで営業部隊をゼロから立ち上げた経験が生かされました。

もし皆さんが、「早期退職」を近い将来の「自分事」として捉えているのであれば、今の会社で、上記のような経験を積むチャンスを探ってみてください。子会社への出向、ベンチャー企業とのオープンイノベーションやアライアンス推進などの機会は、社内の動きにアンテナを張っておけば見つかるものだと思います。

機会がなければ、自ら手を挙げて新しいプロジェクトを起案し、プロジェクトリーダーを務めるのもいいでしょう。その経験は、セカンドキャリアへ踏み出す際、転職市場での価値アップにつながります。

ほかにも、大手企業の早期退職後の再就職にあたり、成功させている人に共通のポイントがあります。それは「覚悟」「潔さ」です。

大手企業時代の年収や待遇にこだわる方、あるいは中小企業を見下しているような方は、なかなか次が決まりません。「年収を下げてもいい」「企業規模は問わない」など、変化に対する覚悟を決めることで、チャンスが巡ってきたとき、迷わずつかみ取ることができます。

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