今や国民的俳優の大泉氏だが、彼の名前が一躍知られるようになったのは故郷の北海道で北海道テレビ(HTB)が制作したバラエティー番組「水曜どうでしょう」だ。北海道の人気パーソナリティー「ミスター」こと鈴井貴之氏、大泉氏、番組ディレクターの藤村忠寿氏、カメラ担当ディレクターの嬉野雅道氏の4人で、毎回サイコロを振って出たお題に従って全国や世界各地を巡って過酷なロケ旅をする。1996年から2002年まで放送されたローカル局の深夜番組にもかかわらず、最高視聴率は18.6%をたたき出し、これまでの放送回を収録したDVDシリーズは累計500万枚も売れた。北海道だけでなく全国のローカル局でも放送されるようになり、今も熱狂的な「どうでしょうファン」がいる伝説のバラエティー番組だ。

ローカル番組「水曜どうでしょう」で知名度が一気に上がった

原点は伝説のローカル番組

番組スタート当初はまだ北海学園大学の学生だった大泉氏は、同じ大学の演劇研究会だった森崎博之氏、安田顕氏、戸次重幸氏、音尾琢真氏と演劇ユニット「TEAM NACS」を結成し、既にローカルタレントとして活動していた。「水曜どうでしょう」での軽妙なタッチとアドリブで見せる会話のやり取りで人気が出ると、番組とともに知名度も広がり、東京に進出すると瞬く間に人気が全国区になった大泉氏。今や他のメンバーもテレビドラマや映画に引っ張りだこで、TEAM NACSもチケットが取れない人気劇団になった。ちなみにすっかり売れっ子になった安田氏も「水曜どうでしょう」ではHTBのゆるキャラ「onちゃん」のぬいぐるみを着て、顔出しなしでたびたび出演していた。

さて、大泉氏のファッションセンスはどうでしょう。正直なところ、デビューしたばかりのローカル番組で活躍していた大泉氏の私服は、お世辞にもおしゃれとは言い難い。髪形はいつも寝起きのような伸ばしっ放しのモジャモジャな天然パーマで、着ているのは大抵いつもテレビ局がタイアップで作ったような番組名の入ったTシャツにジーパン。まぁでも、そりゃあそうでしょう。「水曜どうでしょう」はいきなり朝早く呼び出され、打ち合わせもなく行き先も知らされず、そのまま着の身着のままの格好で深夜バスに乗せられてロケ旅に出るなんてことばかりやっていたからね。

このコラムでよく書いているが、俳優やタレントという職業は売れっ子になって忙しくなると、それと比例するかのようにファッションセンスもよくなる。大泉氏もまさにそうだ。いつも寝起きのようなモジャモジャの天然パーマはきれいにカットされ、「水曜どうでしょう」の頃のあのむさかった私服センスの面影は全くない。

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