当時「ぬれ髪」などオイルを使った髪形がトレンドになりつつあったが、ヘアオイルは市場にまだ少なくベビーオイルを使用していた美容師も多かった。発売直後からワックスより自然な仕上がりになると多くの支持を得たという。
現在はシャンプーやカラー剤など、一般向けと業務用で計15カテゴリー、260アイテム数をそろえる。同社の他の製品と同様「N.」シリーズも美容室専売商品だ。現在全国で約3万店の美容室やサロンと取引がある。一般消費者はEC(電子商取引)などでは買えず、正規取扱先からのみ手に入れることができる。
美容師がSNSで魅力を発信
販路が限定的にもかかわらず若者を中心に絶大な人気を誇る。発売当初よりSNSのフォロワーが多い美容師などが商品の魅力を発信したためだ。後藤課長は「髪の毛のプロが紹介することでブランドの質の高さに説得力が増したのでは」とブームを分析する。
世のトレンドをいち早く取り入れる姿勢も強みのひとつだ。常に複数製品のテストを並行して実施。流行に合わせて自社工場などを通じ即座に商品の販売までつなげる。年間で平均して2~3種類ほどの新商品を発表しているという。
売上高は非公開だが22年度の売り上げは対前年度1割増の水準で推移しているという。2月発売の新商品のカラー剤「ルフレカラー」はピンクやブルーなど派手な色味が多い中で人気が高いそうだ。
後藤課長は「N.」ブランドについて「新しい縁を運んでくれる商品」と評する。「エンドユーザーと美容院、当社の懸け橋となる商品だ」からだ。今後はヘアオイルなど代表作をさらに育てつつ、強みであるスピード感を生かした新商品開発も進める二軸の戦略を描く。業務用商品のさらなる拡充も進める。
(大竹初奈)
[日経MJ 2022年10月28日付]
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