日経MJ

新コンセプトは「なじむ、らしさ、つづく。」

若者のメークへの意識を反映し、ブランド刷新後のコンセプトは「なじむ、らしさ、つづく。」とした。新コンセプトを受けて商品の特徴も肌になじむような処方を採用し、肌への負担感も少なくした。例えば「パーマネントカール マスカラ F」は涙や皮脂に強い一方、お湯で手軽に落とせる。

今回の刷新ではマスカラ以外にもブランドの柱になるような商品を投入した。「マルチフェイス スティック」は1本でリップとチーク、アイシャドーと3役の機能を持つ。10色以上をそろえ、自分らしい色を選ぶという新たなコンセプトを体現するアイテムだ。

店頭での訴求の仕方も大きく変えた。キャッチコピーはあえて入れずに、シンプルな商品パッケージを採用した。例えばマスカラは商品名と色、「ロング」といった仕上がりのタイプなど、売り場で取り間違えない程度の必要最小限の文字にとどめた。以前は「汗・皮脂でもカール落ちない!パワフルカール」など、多くのキャッチコピーを入れていたが、「訴求したいポイントが多くなり、売り場で見にくくなってしまっていた」(伊藤氏)。

ブランド刷新後は売り上げが前年比約1割増で推移しており、20代の購入比率は2倍以上に増えている。これまでのファシオのイメージと大きく変わった刷新となったが、既存客からも好評という。伊藤氏は「今後も消費者を飽きさせない取り組みを続けていきたい」と話し、ファシオのさらなる挑戦に意欲を見せる。

(潟山美穂)

スポーツ専用化粧品「スポーツビューティ」から派生したブランド。10~20代のアクティブで、トレンドに関心の高い女性を中心に支持されてきた。目元を強調するメークが流行した00年代前半は、特に汗や水に強い機能性を持つマスカラが話題になった。

[日経MJ 2021年11月5日付]