雪上キャンプ、テントで鍋料理 氷点下でも快適
真冬に雪上キャンプを楽しむ人たちが増えてきた。電源の利用が可能なキャンプ場が増えており、氷点下でもテント内に電気カーペットなど暖房器具を持ち込めば寒さ知らず。家族連れで雪遊びや雪景色を存分に楽しむことができる。夏のキャンプとは違った魅力があるようだ。
静かな環境、自然堪能
日本列島にこの冬一番の寒波が押し寄せた3連休の初日の11日。雪上キャンパーに人気のキャンプ場、北軽井沢スウィートグラス(群馬県長野原町)に向かった。午後1時のチェックイン時間になると、キャンプ道具を載せた車が続々と入って来る。数日前に降った雪が残り、積雪は20センチメートル。標高1100メートルということもあり、気温は日中でも氷点下7度だった。
それでも子どもたちが雪遊びを楽しむ元気な声が寒空に響く。かまくらを作ったり、雪合戦をしたり。その近くでお父さんがテントを設営し、飛ばないように固定するペグをハンマーで打つ音が響いた。
11日はテントでの参加が12組。従来、冬は週末などの一時的な営業にとどめてきたが、昨シーズン(2012年11月)から通年営業を始めた。「冬の自然の厳しさも楽しんでほしい」と統括マネージャーの梶野寛丈さんは話す。冬期営業のキャンプ場はまだ少ないが、雪上キャンプを楽しむ人が口コミで増えている。
「夏場よりも冬のキャンプが楽しいかも」。年間40回以上キャンプし、雪上キャンプの経験も多い長野県千曲市の寺島里志さんはこう話す。「夏はどのキャンプ場も満員で『難民キャンプ』状態。冬だと人が少なく、静かで自然を堪能できる」。冬は蚊もいないし、料理も暖が取れるうえに調理が簡単な鍋料理が中心というメリットまである。
しっかり防寒、快適に
雪上キャンプだと気温は氷点下になる。吹雪や強風だと雪上キャンプは難しい。このため天気予報を見極めながら予約を入れるのがコツ。ハードルが高そうにみえる雪上キャンプだが、着込むなど防寒対策を十分にすれば、楽しめると参加者は口をそろえる。
各テントで寒さをしのぐ工夫をみせてもらった。テントで風は遮れるが、問題は雪上からの冷気。テント床面に断熱の銀マットを敷く。スウィートグラスにはテントサイト(区画)に電源があり、そこから延長コードを使って電源を引き込み、暖房器具を使っている。
電気カーペットや電気毛布の活用が多く、こたつや電気ファンヒーターを持参するキャンパーもいる。いずれも家電量販店に行けば、数千~1万円程度で手に入るものばかり。寝袋も氷点下に対応したものを使用し、暖房器具と合わせて使えば、快適に過ごせる。
この日は4組が初の冬キャンプ組だった。キャンプを始めて3年という栃木県小山市の三竿里美さんもその1人。仲間に誘われて参加した。「単独だと不安だけど、知り合いも一緒なので思い切ってやってみた」。普段は雪の中で寝ることはなく貴重な経験。「子どもも外遊びが好きだし、暖房器具を使えば思ったより寒くない。また来たい」と声を弾ませた。
実際に記者も試してみた。キャンプは3年前に始めたが、年間回数は片手でも余る。もちろん雪上キャンプは初めてだ。初心者キャンパーが体験するとあって、キャンプ場のスタッフが寒さに備えてファンヒーターを貸してくれた。
夕食は屋外でのバーベキュー。午後8時すぎの気温は氷点下10度だ。焼けたばかりの食材はすぐに冷めるからゆっくりと味わう余裕はない。ただ極寒の中、雪景色を眺めながら飲んだ熱かんは格別だった。
記者が泊まったのはキャンプ場に常設されたテントで、室内にも電源がある。暖房には電気カーペットを使用した。寝袋の下に敷いて寝てみると、じんわりと温かく快適だ。そのまま寝たが、途中で汗をかき、目が覚めたほど。不安だったが取り越し苦労だった。
翌日はキャンプ場が運営するスノーシューツアーに参加した。ふかふかの雪の上を歩き、動物の足跡や小さな冬芽などを見て回る2時間のツアーで、雪化粧した浅間山やすそ野の原生林の眺めがすばらしい。スキーとは違った楽しみがあった。
(倉本吾郎)
[日経MJ2014年1月20日]
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