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「血液の若さ」を守る、隠れた働きもの「脾臓」

働きもののカラダの仕組み 北村昌陽

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NIKKEI STYLE

 「若さ」って、誰もが憧れますね。でも「血液の若さ」なんて、考えたことありますか? 体の隅々まで酸素が巡るためには、血液中の細胞が、若くなければいけないのです。その大役を担うのが左脇腹の奥にある「脾臓」。知名度はあまり高くないですが 、とっても大事な臓器なのです。

私たちの体の中を、隅々まで巡る血液。ドックドックと脈打つ拍動は、まさに体が生きている証といってもいい。

血液の最重要機能は、酸素を運ぶこと。体内に60兆個ある細胞はどれも、酸素がなくては生きていけない。十分な酸素を届けるため、体の中は隅々まで血管が張り巡らされている。

そして、実際に酸素を運んでいるのが、血流に乗って流れる細胞「赤血球」だ。

赤血球は直径7~8μmほどの円盤状の細胞。全部で20兆個もあるというから、全身の細胞の3分の1は赤血球なのだ。内部はヘモグロビンというたんぱく質で満ちている。このヘモグロビンが、酸素分子をくっつけて運ぶ担い手だ。

ところで、体内で最も細い血管は、直径5μmほどだという。若い赤血球はアメーバのように変形して、自分より細い通路を楽々通り抜けるのだが、こういう柔軟性は時間とともに衰えていく。私たちも、たまにストレッチなどをすると、体の固さに愕然とすることがあるけれど、年を取ると柔軟性が失われるのは赤血球も一緒なのだ。

固くなった赤血球は、狭い血管を通れない。そこで体の中には、古い赤血球を取り除く特別な装置がある。それが今回の主役「脾臓」だ。

赤血球の寿命は120日 古くなったら壊される

脾臓は、握りこぶしほどの大きさの臓器で、重さは100gほど。左脇腹の奥、胃と腎臓の間にひっそりと鎮座している。

「脾臓の働きを一言でいうなら、血液中の異物を取り除く"フィルター"です」

帝京大学名誉教授で、消化器外科が専門の冲永功太さんはこう話す。しくみはイラストの通り。動脈から脾臓に入った血液は、「静脈洞」と呼ばれる筒の中へ流れ込む。この筒の壁には多数の隙間が空いており、若くて柔らかい赤血球ならするりと通り抜けられるが、固くなった古い赤血球は、隙間を通れずに引っかかる。

「脾臓には、マクロファージなどの免疫細胞がたくさん待機しています。引っかかった赤血球は"異物"として、マクロファージが食べてしまうのです」

赤血球の寿命は120日ぐらい。毎日約2000億個の古い赤血球が破壊され、同じぐらいの数が生まれている。そうやって若さを保っているから、酸素が全身に行き渡るわけだ。

1.古くなった赤血球はフィルターに引っかかる
 脾臓に入った血液は、静脈洞(脾洞)という管へ回収されて外へ出て行く。静脈洞の壁には隙間が空いていて、これがフィルターとして働く。古い赤血球はこの隙間を通過できない。
2.トラップされた古い赤血球をマクロファージが食べる
 フィルターに引っかかった古い赤血球をマクロファージが貪食する。そのとき鉄分が回収され、新たに赤血球を作る材料として骨髄(赤血球が作られる場所)へ提供される。
3.紛れ込んだ微生物などを 免疫細胞が捕まえる
 脾臓の中には、免疫反応を担当する細胞がたくさん待機していて、血液中に細菌などの微生物が入り込むと、すぐに処理する。腸管と並ぶ、体内の免疫システムの中心臓器だ。

ところで、壊される古い赤血球の中には、捨てるにはもったいない成分も含まれている。

「ヘモグロビンは鉄分を含んでいます。これは脾臓の中で回収され、新しい赤血球を作る材料としてリサイクルされます」

一方、鉄を取り除かれたヘモグロビンの断片は不要なので、ビリルビンという物質になって肝臓へ送られ、さらにいろいろ代謝されて最後は便や尿へ捨てられる。便や尿が黄色っぽいのは、ビリルビン代謝物の色だという。そうか、うんちの色も、元は酸素を運んでいたのかぁ。

免疫にも活躍する 侵入した微生物を処理

血液の中には、ときに、外界からも異物が入ってくる。特に問題なのは病原性の微生物だ。そんな非常事態から身を守るためにも、脾臓は働いている。

「脾臓には、全身のリンパ球の4分の1が集まっていて、微生物などの異物も速やかに処理します。全身の免疫機能の要といってもいいでしょう」

冲永さんは外科医。進行した胃がんの手術などで、脾臓を切除することも多いという。「摘出しても通常は問題が起きないので、昔は大した機能を持たないと見られていたのですが、近年、摘出すると重症の感染症のリスクが高まるとわかってきました」。そのため最近は、脾臓を温存する手術が広まっているという。地味な臓器だけれど、血液の若さと、身の安全を、しっかり守っているのです。ぜひ覚えておいて。

北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。

[日経ヘルス2012年7月号の記事を基に再構成]

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