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歴史博士

2012/6/14

歴史博士

若くして退場した幕末・維新世代

西郷隆盛49歳、大久保利通47歳、木戸孝允43歳――維新の3傑はいずれも長命を保てなかった。いくつもの持病に悩まされ続けた木戸はがんで病死。西南戦争で敗死した西郷、暗殺された大久保も晩年は健康を害していたという。維新直前に高杉晋作は20代で病死、30代前半で暗殺された坂本竜馬も体調不良に悩まされていた。若者が原動力となって実現した明治維新だが、退場するのも早かったといえる。それだけに大隈ら後輩世代らは健康に深い関心を寄せたようだ。

1911年(明治44年)には大隈、井上馨、松方正義、渋沢栄一ら約40人の健康法をインタビューでまとめた「現代名士の養生振」(博文館刊)が出版されている。今日と同じように著名人の健康法は一般の関心も高かったのだろう。

長州閥の中心の1人として明治、大正の政局を切り盛りした井上馨の健康法は冷水浴。明治元年から70歳代半ばまで約40年間続けたという。朝目が覚めると庭で深呼吸や運動を試みて体温を上げ冷水を張った風呂に30分以上もつかり、水中で全身摩擦して体に抵抗力が付くようにした。「ホカホカ体が温まり逆に湯気が出るようになる」と語っている。風邪気味の時に医師から止めるよう忠告されても続けたという。

明治の元勲で中で最も長く1924年(大正13年)まで89歳の長寿を保った松方正義の健康法は朝の1時間から1時間半の散歩と独特の呼吸法。勝海舟から勧められたものだという。1835年(天保6年)に鹿児島県で生まれ、首相・蔵相を歴任した松方は82歳で内大臣に就任、87歳まで続けた。さらに関東大震災の時に「救済策」を山本権兵衛首相に提出したのは88歳の時だった。

生涯に400社を超える起業を果たしたという渋沢栄一は50歳代でがん手術を受け、その後も風邪、腹痛、喘息などほぼ日常的に体調不良に悩まされた。それでも会社経営、財界活動のほか社会福祉事業など91歳まで現役生活を続けた。渋沢史料館の井上潤館長は「活動を続ける、節制を厳守する、心を平和に保ち懊悩(おうのう)を避けるの3点を健康長寿法としていた」という。

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80代からストレッチ運動で健康維持
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