「デキる部下」から上司になった際の落とし穴
良かれと思ってやっているのに、頑張っているのに、うまくいかない。いったいどうすればいいのか? アクションラーニングソリューションズの斉藤秀樹氏が3回にわたってアドバイスをします。シリーズ2回目は、スタッフとして成果を上げてきた「デキる社員」が上司に登用された場合に陥りがちな落とし穴について、アクションラーニングソリューションズの斉藤秀樹氏がアドバイスします。
【相談1】 高い目標に部下たちの反応がない
私に、仕事で転機が訪れました。わが社(食品会社)が、アスリート向けの健康機能食品を発売することになったのです。私はこの新しい仕事にぜひ関わりたいと考え、社内公募制度を使って、その部署へ異動することになりました。リーダーとしてこの新商品のプロモーションに当たります。
当社は後発です。また、先行企業が2社で寡占状態となっています。そこへどうやって切り込んでいくか、具体策はこれからですが、志を高く持つことだけは決めています。先日の顔合わせの際に「2年以内に先行2社に追いつく」「次の大会までに、オリンピック代表級の選手から指名される商品にする」などと話しました。しかし、メンバーの多くは、社内公募ではなく、通常の人事異動で集められた人だからなのか、反応がいまひとつです。中には「その目標は乱暴すぎる」と言う人までいました。
しかし、高い目標を掲げて、それに少しでも近づこうとするから、いい成果が出るわけです。低すぎる目標は達成するのは簡単ですが、飛躍的な成長を促すものにはなりません。どうしたらこの思いを分かち合えるでしょうか。
当社は後発です。また、先行企業が2社で寡占状態となっています。そこへどうやって切り込んでいくか、具体策はこれからですが、志を高く持つことだけは決めています。先日の顔合わせの際に「2年以内に先行2社に追いつく」「次の大会までに、オリンピック代表級の選手から指名される商品にする」などと話しました。しかし、メンバーの多くは、社内公募ではなく、通常の人事異動で集められた人だからなのか、反応がいまひとつです。中には「その目標は乱暴すぎる」と言う人までいました。
しかし、高い目標を掲げて、それに少しでも近づこうとするから、いい成果が出るわけです。低すぎる目標は達成するのは簡単ですが、飛躍的な成長を促すものにはなりません。どうしたらこの思いを分かち合えるでしょうか。
チームの状況に適さない高い目標は部下のモチベーションを下げるだけです。相談者は、まずはチームがどの段階にあるかを見極めなくてはなりません。
まず、相談者は本当にその目標が達成できると思っているのか、素に戻って、もう一度考えてみてください。願望と達成可能な目標とは違います。リーダーの独善的な思いだけで掲げた極めて高い目標は、ただのスローガンと同じです。
チームの成長段階を意識せよ
チームには先述したように成長の段階があります。第1段階はお互いに様子見をしている形成期(フォーミング)、第2段階は自己開示と他者受容を招く混乱期(ストーミング)、第3段階はチームとしての力が出始める標準期(ノーミング)、第4段階はチームの能力が発揮され、成果を上げる達成期(トランスフォーミング)です(図)。
図 各成長段階における課題と成果