朝ドラの主演女優といえば、堀北や尾野のようにベテラン勢もいれば、無名に近い人もいる。ここ数年は前者が目立つものの、朝ドラの長い歴史の中でみれば後者、つまりブレイク前の起用が主流だ。

「役者がヒロインとともに育っていく人が似合う場合と、役者としての表現力が求められる場合がある」。そう話すのは、「ちりとてちん」をはじめ多数の朝ドラに携わってきた、NHK制作局第2制作センター・ドラマ番組部の遠藤理史(まさふみ)チーフ・プロデューサー。職を得て成長していくヒロインと同じように、無名の女優が番組を通じて成長し、有名になっていく様子を楽しみにしている視聴者は少なくないという。

朝ドラ出演をきっかけに多方面で活躍する女優は驚くほど多い(表1)。宮崎あおいのように、すでにヒット作の主演実績(映画「NANA」等)があった場合でも、朝ドラ後に大河ドラマ「篤姫」で歴代最年少主演を務めている。 理由の1つは、放送による露出が多いこと。健気(けなげ)に奮闘するヒロインの好イメージから人気が広がっていく面もある。一方で、制作舞台裏で女優自身が向き合う厳しい現実にも、飛躍の秘密があるようだ。いくつもの壁を乗り越える強さがないと、放送6カ月・撮影8カ月の長丁場は闘い抜けないといわれる。そんな“朝ドラ道場”で、女優はいかにして鍛えられ、磨かれるのだろうか。

表1 放送年の「前」は春・夏クール、「後」は秋・冬クールの半年。視聴率はビデオリサーチ関東地区。
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立ちはだかる“3つの壁”
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