悪い腸は「脳」にも影響…病気を防ぐ「いい腸」の作り方

健康のカギを握る「腸」。この季節に元気な腸でいるためには、まずたっぷりの水分をとること。不思議に思うかもしれないが、全長9mの胃腸を食べ物が通って出ていくまでの、お腹の中の事情が分かれば納得がいきます。腸を元気に保つためのポイントも見えてきます。

いい腸を作るポイントは大腸の「通過時間」にあった

みなさんは、食べたものがお腹の中にどのくらい滞在しているかご存じ? 下痢の場合を別にすると、早ければ18時間程度、長いときは72時間以上かかって出てくるという。ずいぶん開きがあるものだ。

どこで差がつくのだろう? 下図でお分かりのように、差がつく区間は大腸。そして大腸の通過にかかる時間は、腸内細菌のバランスに大きな影響を与える要因だという。

(イラスト:柿崎こうこ)

胃: 胃は強力な筋肉でできた臓器で、食べ物をドロドロにこね回す。このとき強い酸性の液体(胃酸)を混ぜて殺菌。細かくなったものから小腸へ送る。通過時間は2~6時間程度。

小腸: 小腸へ送り込まれた消化物は、胆のうやすい臓が分泌する消化酵素の作用で、分子レベルまで消化される。それを体内へ吸収。消化物の通過にかかる時間は約2時間と短い。

大腸: 大腸は1000種類、100兆個を超える腸内細菌のすみか。小腸で吸収されなかった余剰成分が、腸内細菌の主なエサだ。ここには便が12時間以上、長ければ3日以上も滞在する。そして通過時間の違いが、腸内細菌バランスに大きな影響を与える。スムーズに動く便であれば、大腸の中は善玉菌が優勢だが、停滞すると悪玉菌が増えやすく、さまざまなトラブルの引き金に。

大腸には、1000種類、100兆個を超える腸内細菌がすんでいる。その中に、善玉菌と呼ばれる有用な菌と、悪玉菌=健康を害する作用がある菌がいるのはご存じの通り。実は、便の通過がスムーズで滞在時間が短いときは、おおむね善玉菌が優勢になるが、長引いた場合は悪玉菌が増えやすいのだ。

「便の滞在時間が長くなると、善玉菌のエサとなるでんぷんやオリゴ糖が食べ尽くされて、勢力が衰えてしまう。すると、代わって悪玉菌が増殖してくる」。静岡大学農学部の森田達也教授はこう話す。大腸の終盤ほどエサが枯渇するため、悪玉菌優勢になりやすいという。

次のページ
便秘がちになると腸内環境はどんどん悪くなる
ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント