便通、肌保湿、抗うつ… 酒かすのうれしい健康効果運転時などは注意も

日本酒の新酒とともに出回り始める酒かす。人気の発酵食品の一つだ。伝統食材でありながら、改めてその健康効果に注目が集まっている。最近の研究結果や普段の食事への取り入れ方、注意点をまとめた。

今年5月、広島大学大学院の加藤範久教授が、栄養や食糧科学の分野で顕著な業績があったとして日本栄養・食糧学会学会賞を受賞した。

多くの栄養素残留

テーマは「消化管で作用する疾病予防成分に関する栄養学的研究」。高脂肪・高カロリーな食生活が肥満や糖尿病といった生活習慣病の一因とされるなかで、酒かすなどに含まれる成分が、その予防や改善に役立つなどという内容だ。

酒かすは日本酒の製造工程で蒸した米を熟成させたもろみをしぼった後に残るカスだが、ビタミンやアミノ酸など米や酵母に由来する栄養素が多く残る。加藤教授が注目したのは消化されにくいたんぱく質の「レジスタントプロテイン」だ。

レジスタントプロテインは原料の米にも含まれ、濃縮された酒かすなら効率的に摂取できる。そばなどにも含まれているが、酒かすレジスタントプロテインは「脂肪を吸着しやすい」(加藤教授)。胃で消化されずに小腸に達し、脂肪を吸着して便として排出する。酒かすの抽出物を二次発酵により濃縮させて動物実験し、便秘の改善や血中コレステロールの低下、肥満抑制の効果を確認した。

酒かすそのものなら、どれぐらいの量で効果があるか。加藤教授と共同研究したヤヱガキ醗酵技研(兵庫県姫路市)の渡辺敏郎さんらが男女12人の協力を得て日本醸造学会で発表した研究がある。レジスタントプロテインの必要量は「酒かすに換算すると1日約50グラム」(渡辺さん)。これを3週間毎日甘酒にして飲み続け、排便の状況や血液検査で効果を検証した。

被験者らの排便の回数や量の変化をスコア化し解析したところ、排便回数は8人が、排便量は10人が増加した。体重と体脂肪率には大きな変化がなかったものの、悪玉とされるLDLコレステロールが低下し、善玉のHDLコレステロールが増加した。「酒かすそのものにも腸内環境を善玉に傾け、便の量を増やすなどの機能性がある」(渡辺さん)ことを裏付けた。

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