いじめは防げる 予防体制を築いたスウェーデンの実績スウェーデンから見る日本 高見幸子

2014/1/24
OECDの発表によると、女性の就業率が80%を超えるスウェーデン。女性議員の比率も45.0%と、日本の衆議院における女性議員の比率11.3%を大きく上回っています。女性が広く活躍するスウェーデンで40年近く暮らす筆者。現地での経験を生かし、日本の生活がさらに豊かになるためのヒントを、日本の女性からの質問に答える形で、一緒に考えます。
質問
子どものいじめによる自殺が問題になっています。子どもの社会も、大人の社会も、いじめがなくなることはありません。競争し合うことも、弱肉強食の体質もなくならないのは理解しています。でも、自殺にまで至るとは…。国は、子どもの自殺があった場合、学校や教育委員会が主体的にその背景を調べるよう通知を出したとのことですが、滋賀県大津市の中学生の自殺の問題では、その調査がうまくいかず、事実が隠ぺいされたり遺族との対立を深めることになりました。子どものいじめを監視・抑制し、何か問題があった場合、原因を究明し再発防止に努めることが、学校や教育委員会に求められていますが、実際はうまく機能していないようです。
10代のいじめ問題について、スウェーデンでの実態や対応はどうなっているのでしょうか? 日本のいじめ対策に欠けている視点を教えて下さい。(40歳・会社員・子ども1人)

スウェーデンでも、学校でのいじめはある

日本でいじめのために自殺をした中学生の事件について記事を読みましたが、本当に痛々しい話です。いじめは、どの国でもあります。スウェーデンの学校にもいじめの問題はあります。その実態を調べてみました。

スウェーデン教育庁が行った、2008年~2010年のいじめ調査報告書によると、スウェーデンでは、8%の生徒が1~2度いじめにあった経験があり、2%弱の生徒がよくいじめられている状況であると書かれていました。生徒300人の学校だと、21人が1~2度いじめにあい、6人が常にいじめられているという割合です。

これは、国際的に比較すると非常に低い比率です。数回に渡り30~40カ国といじめの比率の比較調査をした結果、スウェーデンはその中で最もいじめが少ない国という結果が出たと報告書にありました。スウェーデンの徹底したいじめ予防対策の成果が出てきたと評価していました。

いじめを個人の問題で終わらせない

スウェーデンのいじめ予防対策とはどのようなものかをご紹介する前に、そのバックボーンになるいじめに対する考え方を少し説明します。

一般的にいじめは、子どもたちの個人の問題としてとらえがちです。それゆえ、いじめた子どもといじめられた子どもの心理や家庭を調べて「いじめ」を理解することにスウェーデンでも長年フォーカスがされてきました。

近年、いじめの原因を、学校の状況へと広げて検証しました。その結果、例えば、1クラスの人数が多すぎる、権力の上下関係がある、年齢の差、出席の強制など、学校側にもいじめの要因があることが理解されるようになったのです。

注目記事
次のページ
スウェーデンで成功している学校のいじめ対策