すし屋のカウンターで映える美しさ意識

吉川さんがセミナーで使用した「CHICCA」の化粧品

このあたりで、モデルさんの顔がデコルテの色に近づき、ぐっと美しさが増してきた。手を入れるごとに素肌のようになっていく不思議。「これで、おすし屋さんの至近距離に堪えられる顔になります」

素肌っぽい美しさを目指す吉川さんが唱える「すし屋理論」とは、こういうことだ。すし屋のカウンターで2人並んだときの近さで、男性が「かわいい」と思えるメークを意識する。表情ばかりでなく、伸ばした腕の美しさや指先の手入れも怠らないこと。「遠くから見ても分かるようなメークは必要ありません。それは舞台化粧です」と一刀両断。「質感は整える。素顔っぽい。近くでもメークしていないように見えるっていうのが、匠(たくみ)の技」。会場に笑いが広がる。

肌づくりの仕上げは、ほお紅と眉毛だ。黄色が強い肌だって、ほお紅で顔色を調整できる。ほお骨、ほうれい線の手前、あごのちょっと上までの広い範囲で入れること。「ファンデーションの質感とほお紅の質感を合わせることが大事です」。1本抜くだけで顔の印象が大きく変わる眉毛は、長さにも最大の配慮を。メーク専門誌を開けば適切な長さの決め方が載っているが、「長すぎるとドラマチックになりすぎる。気分が軽い今の時代は、短めで。ただ、最後は自分がきれいか、かわいいかで判断。長さにルールはないのです」。

リップグロス、マスカラをつけて、「朝起きたときにありえないくらいかわいい子」が完成、参加者の食い入るような視線が集まった。一方、吉川さんの目は、脚に、腕に――。「出ているところはすべて“顔”だと思ってほしい」。スカートをはいたときの素足、ハイヒールを履いたときの足の甲、半袖から伸びた腕。目に触れるところはすべて「美しく磨く」。クリームやきらきらパウダーで控えめなつやや光を出してもいい。

主役は自分の顔 鏡でもっと分析を

「自分の顔をどう見せたいのか。考えて」と問いかける吉川さん(5月28日、東京・大手町)

この後、今夏の流行色のターコイズのアイシャドーで目元を華やかに演出し、口紅をのせていく。「アイシャドーの仕事は、その人がきれいに見えること。アイシャドーそのものの色がきれいに見えることではありません」。流行のブルー系は肌との反対色だから、薄くつけるだけでOK。口紅はシアータイプという色味が軽く出るタイプがおすすめだ。きらめきのある濃い色のリップグロスを重ねるだけで、暗めのお店でも映えるミステリアスな雰囲気に変身する。ここまで30分ほど。あっという間の変身ぶりに感嘆の声が上がり、近くで見たモデルさんの自然なメークに大きな拍手が起こった。

改めて女性たちにメッセージを。「鏡でもっと自分の顔を分析してほしい。顔の形だけでなく、自分がよくする表情、写真を撮られる時の“キメ顔”などをじっくり見る。自分の顔をどう見せたいのか、シミは本当に隠す必要があるのか、考えてみる。化粧品のためにメークするのではなく、自分の顔が主役だという、当たり前のことを忘れないでもらえるとうれしいです」

<5月28日東京本社、「『その肌づくり、間違っています』~吉川康雄の自分らしさを引き出すメークセミナー」より>

(女性面副編集長 松本和佳)