地下が見える マンホールの蓋の読解法編集委員 小林明

ここで豆知識。

マンホールの蓋の直径は昔から60センチが多く、なぜか海外でも60センチ程度が基準になっている国が多いという。人が出入りする穴の大きさは古今東西60センチが基準ということなのだろうか? 理由はよく分からない。

ついでに、全国にマンホールの蓋がいくつあるかご存じだろうか?

下水道の場合、マンホールの蓋は清掃のために30メートルおきに設置するのが基準。つまり、全国では1100万個以上ある計算になる。東京都内なら48万個。これは大変に大きな数だ。まさに身近に広がる小宇宙。地下空間との唯一の接点でもあり、見ているとマンホールの蓋が自分に話しかけてくるような気持ちになってくる。

たまには視線を足元に落とし、のんびりとマンホールの蓋を探索するのも楽しいかもしれない。

1位東京は99%、最下位徳島は16%

最後になったが、下水道の統計を調べていたら興味深い事実を見つけたので紹介しておこう。

統計を見てほしい。これは都道府県の下水道普及率のまとめである(国土交通省、2012年度末)。全国では76.3%だが、都道府県別の数値を見ると、1位の東京(99.4%)から46位の徳島(16.3%)まで、かなり大きな開きがあることが分かる。

何が起きたのだろうか?

「実は気候や降水量、海流が関係しているという説がある」と解説するのは国土交通省のOB。どういうわけか普及率の低い県は黒潮に洗われる西南日本の沿岸部に多い傾向があるというのだ。

■気候、降水量、海流などが影響

試しに、50%未満の9県を着色してみると一目瞭然。徳島、和歌山、高知、鹿児島、香川、島根、大分、三重、愛媛……。たしかに、西南日本に集中している。

こうした地域は台風や集中豪雨が多く、急勾配の河川を抱えている。「だから、下水道対策よりも浸水対策に力点を置いてきたことが影響しているのではないか」と推理する。しかも、汚水を河川に流してもすぐに海に流れるし、荒い海流がサッとどこかへ運んでしまう。「自浄作用で水質を保てるという地の利があることも要因」と見る。

いずれもしても、日本は欧米諸国にくらべて下水道普及率が低い水準にとどまっており、こうした地域の普及率をどう上げるかが課題になっている。

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