地鶏には4つの条件 銘柄鶏には厳密な規定なく

徳島県の地鶏「阿波尾鶏」

ここで疑問になるのが、地鶏と銘柄鶏の違いだろう。まず、地鶏の定義は日本農林規格(JAS)ではっきり決められている。1999年のことだ。JASによると地鶏には大きく4つの条件がある。

(1)在来種由来の血統が50%以上で出生証明ができる素びなを使っていること

(2)ふ化日から80日間以上飼育していること

(3)ふ化後は28日目以降は平飼いで育てること。平飼いとは、鶏舎の中また外で鶏が床や地面を自由に動けるようにして飼育すること

(4)ふ化後28日以降は1平方メートル当たり10羽以下の環境で飼育していること

一方の銘柄鶏にはJASなどによる厳密な規定はない。一般のブロイラーよりも飼育期間を長くしたり、エサを工夫したりして味を高めたものを指している。地鶏の表記は使えないが、地鶏とブロイラーの中間に位置する手ごろなブランド鶏としてスーパーなどで存在感がある。

比内地鶏の焼き鳥

地鶏を巡ってはこれまでも多くの問題が起きた。最近では2007年に秋田県の鶏肉加工会社が廃鶏を比内地鶏と偽って出荷した事件が記憶に新しい。こうした問題を通じて地鶏の定義に関する認識はかつてよりも広がっていることは確かだ。「地元で飼っているから地鶏と表示していいと思った」といったふざけた言い分は聞かれなくなった。ただ、市場では今も定義を満たさない地鶏が少なからず出回っているとみられる。

足元の食品の偽装問題でも、阪急阪神ホテルズが「津軽地鶏」という存在しない地鶏をメニューに書いていたことが発覚。一般のブロイラーのもも肉の卸価格が1キロ500~700円ほどなのに対し、地鶏は同3000~4000円ほど。価格差は大きい。「JAS基準を満たさなくても罰則があるわけではなく、実質上は言ったもの勝ちでは」(都内の流通業者)との指摘もある。消費者としては、業者の良識に信頼するしかないのが現状だ。

「最もブランド力があるのは名古屋コーチン」

では数ある地鶏の中で最もブランド力があるのはどの銘柄か。

流通市場では名古屋コーチンというのがほぼ一致した見方だ。明治時代に愛知県でつくられ、正式名は「名古屋種」。中国から輸入されたバフコーチンと尾張地方の地鶏を交配。肉質や産卵能力がよく全国に広まったが、海外産の鶏にシェアを奪われ一時は絶滅寸前に。その後再評価され高級鶏肉として復活した。

愛知県のブランド鶏肉「名古屋コーチン」

日本経済新聞が今春に百貨店やスーパーのバイヤーを対象に実施したブランド鶏肉に関する調査では、16の調査項目のうち、味や品質、知名度などの7項目で首位だった。2位の比内地鶏や3位の阿波尾鶏を大きく引き離した。09年にはニセモノ事件が起きたことをきっかけに名古屋コーチン協会を設立し、ブランド維持に努めている。一方で「県を中心に卵のおいしいコーチンの改良にも力を入れている。地元ではすでに人気です」(同協会の大塚勝正事務局長)と新たな展開にも余念がない。

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