2013/8/10
アローアローは中小企業の女性の職場復帰までをサポートする

産休・育休を取る際は健康保険や雇用保険から手当や給付金が出るが、人事担当者が仕組みをよく知らない。社員10人未満の小企業は就業規則を作る義務がなく、産休・育休が明文化されていない――。中小の抱える問題は多い。その会社で初めて産休に入る女性はロールモデルがなく、業務の引き継ぎや精神面でも不安が大きい。アローアローは数カ月にわたり企業を訪問し、産休・育休を取る女性を交えて議論し助言する。

「大企業や行政が手掛けていないニッチな分野の問題を、ビジネス的な手法で解決しようとする若者が増えている」。社会起業に詳しい日本政策金融公庫の藤井辰紀主任研究員は指摘する。

参加者に混ざって会話を楽しむ「ランチトリップ」主催者の松沢亜美さん(中央)=東京都港区の新北海園

日本公庫が12年にまとめた調査では、代表者が女性の営利企業は23.3%に対し、NPO法人は29.5%。女性はこれまでも生活者目線で社会問題に取り組む主要な担い手だった。一方、4万7833法人(6月末)に達したNPO法人の増加ペースはここ数年鈍化。「株式会社が社会問題に取り組む事例も増え、組織形態にこだわらない傾向」が強まっている。

「アテンションプリーズ。本日はランチトリップ香港便にご搭乗いただきありがとうございます」。松沢亜美さん(29)が主催する「ランチトリップ」は任意団体だ。

大使館やレストランを会場に、その国の出身者や居住経験者から話を聞くイベントをほぼ毎月開催。08年からサウジアラビア、インドネシアなど46回、約1600人を動員した。現地の料理を食べながら観光情報はもちろん、社会情勢や生活習慣まで広く理解を深める。最近はビジネスマンの参加も多く、フェイスブックで参加者やガイド役の輪も広がっている。

「ランチトリップ香港便」で配布された香港の観光案内とお料理(東京都港区の新北海園)

工業用ミシン世界大手のJUKI勤務だった4年2カ月で、中国内陸部やインドへの長期出張を繰り返した。「現地の生活を実感しないとビジネスは回らないと痛感した。『グローバル化の時代』と叫んでも、日本では他国を知る機会が少ない」。堅苦しい勉強会ではなく、目線を下げて硬軟の問題を考える現在の形を思いついた。自ら客室乗務員姿になる遊び心は忘れず、他国で「ランチトリップ日本便」を開催する夢も抱いている。

「思い」と「仕事」を両輪にして、社会に新しい風を吹かせる。しなやかな女性の挑戦は、とかく前例を重視しがちな男性社会の日本に刺激を与えている。(馬淵洋志)