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秋葉原はAKB、赤羽は… 駅ナンバリングの法則

2016/4/22

東京メトロでは主要14駅に地下鉄の乗り方や沿線情報などを書いた「ウエルカムボード」を設置するなど、外国人に分かりやすい表示を進めている(上野駅)

駅の案内標識にアルファベットと番号を組み合わせた「駅ナンバリング」。JR東日本が10月からの導入を決め、首都圏では主要路線に広がった。各社のナンバリングをみると、路線名や駅名に工夫の跡がうかがえる。駅ナンバリングの法則と歴史を追った。

JR東日本が10月から導入する駅ナンバリングの例。駅名、路線名、駅番号で構成する(JR東日本提供)

■駅番号、「南西から北東」が基本

JR東のナンバリングは、三層構造になっている。駅名と路線名、駅番号だ。

駅名はアルファベット3文字で、同社は「スリーレターコード」と呼ぶ。路線名はアルファベット2文字、駅番号は数字2桁だ。

スリーレターコードを表示するのは主要な乗換駅のみ。例えば東京駅は「TYO」、渋谷駅は「SBY」、新宿駅は「SJK」といった具合だ。

秋葉原駅はやはり「AKB」。となると赤羽駅が気になるが、こちらは「ABN」となった。大崎駅は「OSK」。大阪駅にはスリーレターコードがないので問題はないが、つい大阪と読んでしまう。

駅番号の振り方に何か法則はあるのだろうか。JR東に尋ねると、「基本的に南西から北東に向けて番号を付けています」との答えが返ってきた。

確かに、京浜東北線は大船駅が01で大宮駅が47と南西から北東だ。中央線・総武線各駅停車も三鷹駅から千葉駅に向けて番号が振ってある。ただし東海道線や中央線快速など一部例外もある。「山手線は東京を起点に内回りで考えた」とのことだった。

それにしても、南西から北東とは何か意味があるのだろうか。確かめてみると「東京メトロの振り方を参考にした」という。そこで東京メトロにも聞いてみたが、「2004年に番号を付けた時点でどんな理由があったのか、今では分からない」とのことだった。

渋谷駅には駅番号が2つあり、半蔵門線(Z01)と東急田園都市線(DT01)が併記されている

■新駅には新しい番号

JR東の資料を細かくみていくと、番号が抜けている場所があった。それも2カ所ある。路線だと山手線と京浜東北線、駅では品川駅と田町駅の間だ。山手線のJY26、京浜東北線のJK21がない。JR東に聞くと「新駅のために空けてあります」とのこと。

新駅といえば、東京メトロにも計画がある。日比谷線の虎ノ門新駅だ。神谷町駅(H05)と霞ケ関駅(H06)の間に予定されているが、できた場合、番号はどうなるのか? 同社に確認すると未定とのこと。ただ外国人向けの分かりやすさを優先するなら番号を振り直すのが自然だ。その場合は新駅が「H06」となり、その先は1つずつずれていくことになりそうだ。

■今も残る「E電」

ところでJR東の発表資料に気になる文言があった。駅ナンバリングを導入する対象駅について触れたところで、「電車特定区間(E電区間)の各駅へ導入します」とあるのだ。

駅のホームに残る「E電」の表記(東京駅総武線地下ホーム)

E電区間? そういえば聞いたことがあるが、今もあるのか? 同社に尋ねると「以前公募で決めた愛称で、今も使っています」。世間では全く聞かなくなった名前だが、発表資料にも載せるくらいだから本当に使っているようだ。

「電車特定区間」とはそもそも、首都圏などでキロ当たりの運賃が安く設定された区間のことを指す。国鉄時代は「国電」と呼ばれていた。それ以前は鉄道省だから「省線」、さらにさかのぼると明治後期から大正にかけて「院電」だった。鉄道院に由来する。

1987年の国鉄民営化に伴い、JR東は国電に代わる愛称を募集した。結果は(1)民電(2)首都電(3)東鉄--がベスト3となったが、選考委員会が選んだのは20位のE電だった。

同年5月14日付の日本経済新聞によると、当時の山之内秀一郎副社長は「E電はイーストのE、いい人のE、エンジョイのE、エネルギーのE」と期待をかけていた。

しかし公募結果とかけ離れたネーミングは、世間の不評を買った。石原慎太郎運輸相(当時)が「無神経なネーミング」と切り捨てたほか、国語審議会でもケチがつくなど散々で、90年8月9日付日本経済新聞夕刊では「もはや死語」とまで指摘されていた。それだけに、今回の資料には驚いた。

■半蔵門はZ、ゆりかもめはU… 重複回避に知恵

駅ナンバリングは84年、長崎電気軌道が導入したのが国内では最初とされる。02年に横浜市営地下鉄、04年に東京メトロが始めたことで一気に広がる。02年のサッカーワールドカップ日韓大会が契機となった。

東京メトロのウエルカムボード。地下鉄の乗り方などが書いてある。上野駅など5駅に設置していたが、2月から14駅に拡大した(上野駅)

ナンバリングが広がってくると、問題になるのが重複だ。路線が多い首都圏では顕著で、各社はそれぞれ工夫を凝らしている。

例えば東京メトロでは、半蔵門線はHではなくZ。「Hanzomon」ではあるが、Hは日比谷線、Aは都営浅草線、Nは南北線、Mは丸ノ内線に振られ、やむなくZを選択した。似たような論理で都営三田線は「Mita」なのにIだ。

ナンバリングは早い者勝ちで、後発組は残った文字から選ぶしかない。典型が「ゆりかもめ」。既にYは有楽町線が使っているため、協議の末、Uを採用した。

首都圏では各路線の直通運転が広がり、1つの駅を2つの路線が使うケースが増えてきた。こうした場合、駅番号はどうなるのか。

半蔵門線と東急田園都市線が接続する渋谷駅では、Z01とDT01が併記されていた。1つの駅に2つの番号が振られているのだ。東急の他の路線や小田急、京王、東武、西武線など各社も同じだ。

唯一違っていたのが泉岳寺駅。都営浅草線と京急線が接続しているが、駅番号は都営浅草線のA07のみ。京浜急行電鉄に聞くと「駅の管理が東京都交通局なので、番号を統一しています」とのことだった。

東京の鉄道網は便利な半面、乗り換えや駅の案内が複雑だ。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、分かりやすい駅表示がますます求められている。

(河尻定)

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