レトロ電車に群馬で遭遇 ひもかわ&究極の食材に挑む
まずは「番組」リニューアルのお知らせです。これまで3回のロケをご一緒し、筆者のオヤジギャグに絶妙な「ツッコミ」を入れていた写真部の湯沢華織記者に代わって、メディア開発部の松本千恵記者がアシスタント役を務めることになりました。物おじしない、打たれ強い性格は記者向きなのですが、筆者とコンビを組むとそろって「ボケ」「ダブルボケ」になってしまうのが不安材料です……。
今回は群馬県の桐生市、みどり市周辺から栃木県の日光市(旧足尾町)まで足を延ばします。群馬県桐生市周辺は、わたらせ渓谷鉄道や上毛電気鉄道など鉄道路線が網の目のように張り巡らされているうえ、渡良瀬川の渓谷は10月後半から紅葉シーズンが本番を迎えるなど見所がたくさんあります。トロッコ列車「わっしー号」に乗りつつ、道中、桐生名物「ひもかわ」などグルメも楽しみます。食欲の秋ですからねぇ。
というわけで、車で向かう松本記者や撮影隊一行と離れて、筆者は当然、電車で向かいます。旅の始まりは東武鉄道の浅草駅。群馬県太田市・桐生市方面に向かう特急「りょうもう」に乗るためです。東武の特急電車はJRや地下鉄千代田線などと接続する北千住でも乗れますが、松屋浅草(デパート)の2階にあり、ターミナル駅のたたずまいを残す浅草駅でないと鉄道ファンとしては旅情が高まりませんから。
桐生市にはかつて、大手パチンコ機器メーカー平和とSANKYOの本社があり、約20年前に取材でお邪魔する際によく「りょうもう」を利用しました。「りょうもう」用の200系車両は当時、デビューから数年のピカピカの新車でしたが、年月を経て車内はくたびれた感じが否めません。最近は「りょうもう」を利用する観光客も増えているようで、当日は中高年のハイカーも大勢乗っていました。東武は2017年春にも新型特急を投入する計画なので、登場が待ち遠しいです。
ここからはグルメに話題を変えましょう。桐生の名物ひもかわはうどんの一つです。小麦の生産が盛んだった群馬では「おっきりこみ」「水沢うどん」など「粉物文化」が発達し、高崎市を中心に地元のパスタチェーンが圧倒的に強く、東京の大手がなかなか入り込めないといわれているほどです。
テレビの情報番組などで「ひもかわが大人気!」と取り上げられていたので、ロケの前に味見しないといけないと思い、9月末に小さな秘書(娘)を連れて出かけました。桐生駅からタクシーで10分ほどの場所にある人気店で、幅約5センチメートルのひもかわをおいしくいただきました。
今回お邪魔したのは「めん処酒処ふる川 暮六つ 相生店」です。実は娘と来たとき、桐生駅前にある「味処ふる川 パークイン桐生店」に行こうとしたのですが、夜のみの営業のため食べられなかったのです。
「ふる川」のひもかわは幅約13センチメートルと、まさに「食べる一反木綿」。器には折り畳んで重ねられているので見た目は少ないけれど、1枚を箸で持ち上げると結構な重さです。めんつゆがこぼれないよう、器に入れすぎないのがポイントです。
究極のスタミナ食材は……映像の後半部分をご覧ください。田舎育ちの筆者は中学生時代理科部に所属していたにもかかわらず、この生き物が大の苦手。毎年暖かい季節になると、通学路などで出くわして何度も肝を冷やしました。中学校では「校庭にマムシ現る!」と度々ニュースになっていたほどで、農業大学OBの理科の教諭は「マムシ捕りの名人」。実験室にはアルコールの中で「溺死」したマムシを見かけました。(あのお酒、誰が飲んでいたのかいまだに謎ですが……)
筆者は以前から近くにある藪塚温泉に行ってみたいと調べていて、ジャパンスネークセンターを知りました。最初の打ち合わせのときは乗り気でなかったロケ隊のメンバーも直前になって「せっかくだから行きましょう」と。ちなみに正式名称は「財団法人 日本蛇族学術研究所」で、咬まれたときの対策講座を開いたり、警察が押収した生体を引き取ったりと、大切な役割を担っているそうです。
しかし、苦手なものは何年たっても苦手。「触ってごらん」と料理長に勧められてもダメでした。ただ、敵は料理された状態、「薬」と思い口に運んでみました……。姿焼きは「パリパリに揚げた鳥の皮?」「大きめの川エビのから揚げ?」のように香ばしく、「おやっさん、ビール1本」と注文しそうに。いため物は食感はホルモン、味は鶏肉に似ており、ごはんが欲しくなりました。
ご利益があったのか、上毛電気鉄道西桐生駅で撮影していたら、偶然にも開業時から走る電車「デハ101」が貸切として到着しました。昭和3年製で、車内の窓枠や床は木製とレトロ感たっぷりで、「鉄ちゃん」には大当たりでした。
上毛電気鉄道は京王電鉄井の頭線を引退した車両が「第2の人生」を送っており、平日の朝ラッシュ時以外は自転車を持ち込み料金不要で乗せられるので有名です。今回は時間の都合で乗れませんでしたが、近いうちに「乗り鉄」で訪れたいと思います。
それにしても、初めてのロケでこれでは早々に松本記者に愛想を尽かされるかもしれません。おまけに、今回から筆者の原稿は前編だけにして、後編は文学部卒の松本記者に任せます。後輩に仕事を押しつけてサボっているわけではありません。
(電子編集部 苅谷直政)
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