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「女性の口に合うワイン届けたい」 田辺由美さん サクラワインアワード主催者

2015/4/5

世界中から集まった2900本以上のワインを審査するのは全員女性――。2014年から始まった「サクラアワード」は、世界でもまれな女性のみによるワイン審査会だ。日本でワインを楽しむ女性が増える中、業界は男性が中心。「女性の口に合うワインを届けたい」と企画した。

ワインの募集から、女性たちへの審査依頼まで奔走し、今年の審査会には業界で働く約340人の女性が集まった。

十勝ワインの産地、北海道池田町で生まれ育った。町長を務めた父は、ワインを町おこしの中核にと尽力、ワインはいつも身近にあった。ただ、仕事として関わるようになったのは30歳目前だ。

大学では子どもの頃から夢中で学んだ数学を専攻、卒業後はシステムエンジニアとして働いた。転機は金融機関に勤めていた夫の米国留学だ。留学先はホテルやレストラン関連の研究で世界有数の大学院を抱えるコーネル大学。「気軽な気持ちで」ワインのコースを受講して体系的に学ぶだけでなく各国のワインを味わい、奥深さを知った。

十勝ワインの産地、北海道池田町で生まれ育った

帰国後、ワイン卸会社を経て独立、酒造会社や小売店の社員向けの講習会などを手掛けた。1980年代、アルコールといえばビールや日本酒が主流だったが、ワインも普及の兆しを見せていた。「日本でまだ誰もやったことがないこと」に取り組む楽しさに突き動かされ、仕事に没頭した。

92年からソムリエ認定試験向けの講座を開始。レジュメをまとめたテキストは、発売から20年以上たった今も、受験生のバイブルだ。

サクラアワードは長年温めてきた企画だ。日本は欧米に比べ、ワイン購入者に女性が多い。しかしワインメーカーやソムリエ業界は、幹部クラスはほとんど男性だ。

「どこの業界でも、仕組みを一気に大きく変えることは無理。でも変える努力はしなければ」。これまで培った人脈をフル活用して多くの海外生産者からワインを出品してもらい、教え子らが審査を担った。受賞ワインが小売店で大ヒットとなるなど反響も大きい。

還暦を過ぎた今も激務が続くが「永続的に続く審査会にしたい」。笑みを絶やさない柔和な表情を一瞬、ひきしめた。

(松本 史)

田辺由美(たなべ・ゆみ) ワインアンドワインカルチャー社長。北海道生まれ。1975年津田塾大卒。86年から現職。62歳。

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