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マンガ発映像化 ヒットを最大化する新セオリー 日経エンタテインメント!

2014/12/25

マンガ原作の実写映画が増え、『るろうに剣心』をはじめ大ヒットが相次いでいる。マンガ原作を出発点に、アニメ化と連動して実写作品を仕掛け、ヒットを最大化する戦略に期待が高まっている。映像界の新たなメガヒットの背景を探った。

『るろうに剣心/京都大火編』『伝説の最期編』が2部作合計で興収90億円を上回り、『ホットロード』『ルパン三世』は24億円(2014年10月時点)。2014年後半、マンガ原作の実写映画化の大ヒットが続いた。

近年、マンガの実写映画化は少なくない。「日本の観客は映画を見る際に損をしたくないので、売れている原作といったよりどころを必要としており、結果、製作サイドもマンガ原作に行きやすい」(日本テレビ映画事業部の佐藤貴博プロデューサー)からだ。

しかし、原作ファンをがっかりさせることも少なくなく、出版社側も慎重な姿勢を見せていた。それがここへ来てなぜ、作品数を増やし、しかも大型ヒットが相次ぐようになったのか。

第1に、「作れる監督がそろった」ことがある。『るろうに剣心』シリーズをプロデュースしたワーナー・ブラザース映画の小岩井宏悦邦画事業部長は、「観客に付加価値を提供できるかどうかが、実写化の成功ポイントの1つ。『るろう』ならすごいアクションですが、それができたのは、大友啓史監督の演出があったから」と言う。

『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0』、そして前後編の超大作『寄生獣』を手がけた山崎貴は、所属する映画の企画・制作会社の白組とともに自らVFX(映像の特殊効果)を駆使し、マンガやSFならではの世界観を表現した。プロデューサーから見ても観客から見ても、現在、この手の大作を一番安心して任せられる監督といえるだろう。

そのほか、『神さまの言うとおり』が待機する三池崇史、『海猿』で名をはせ『暗殺教室』に挑戦する羽住英一郎、そして『進撃の巨人』を任された樋口真嗣も、マンガの実写映画化において期待できる監督だ。

■実写化の前にアニメ化が勝ちパターンに

第2に出版社側の対応の変化がある。各社とも映像化に積極的に取り組んでおり、「ここ数年、どこもライツ部門を強化して、映像化の許諾が楽になった」とは、複数の映像関係者からの証言だ。

マンガの場合、出版社側がまず重視するのがアニメ化だ。マンガの読者とアニメファンとは世代や嗜好が近いことから、コミックスの売り上げに直結しやすい。また「実写は一般層への波及は絶大だが、出演者の都合に左右されることが大きい。その点アニメなら、制作費さえ集まれば実現しやすく、作家を売り出したい時期など、こちらの戦略に合わせられる」(出版関係者)からだ。

こうして生まれたのが、実写の前に「アニメを挟む」という戦略だ。まずはアニメ化でマンガ読者の延長線にいる若者層へアピール。最終的に実写映画化という「イベント化」で幅広い層へ浸透させる。2014年から15年にかけての大型作品は、この勝ちパターンに乗っている作品がほとんど。2014年11~12月に『寄生獣』『アオハライド』、15年には『暗殺教室』『信長協奏曲』『進撃の巨人』がずらりと並ぶ。

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