「最初は、考えながら演技をしていましたが、撮影が進むにつれ自然に演じるようになれて。本編とオリジナルストーリーの両方の機会をいただけて、茅野の役は私にしかできないと思えるくらいになりました。周りの方々に支えられて、自分自身も成長できたと思うし、少しだけ自信も持てるようになったのは、今回の収穫かもしれません。

お芝居にはこれからもしっかり取り組んでいきたい。どんな役でもやりたいし、いろんな役をできるようアイドルの殻を破っていける人間に成長したい。今の私はもう、お芝居のためなら丸刈りにでもなるくらいの気持ちです(笑)」

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ネット層を意識した配役

『着飾らない恋には理由があって』は、6月までTBS系で放送されていた『着飾る恋には理由があって』から生まれた配信オリジナルストーリー。川口春奈が演じる真柴くるみの後輩である、茅野と秋葉の2人の恋の行方を描く。両作品のプロデューサーを務めるTBSスパークルの新井順子氏に、制作過程を聞いた。

「配信向けのオリジナルストーリーを作るにあたり意識したのは、ネットの中心層である若い視聴者です。そこで、視聴者に世代が近い、フレッシュな2人のキュンとするようなオフィスラブを描くと面白いのではと。オリジナルストーリーの準備は、本編とも言える地上波版と並行して進めました。

時系列を合わせるために、本編の脚本の準備稿が出来た段階で、それをオリジナルストーリーの脚本家に渡し、裏で起こっている別の物語を描いてもらいます。脚本作りの際には、役者さんが演じづらくならないよう配慮しました。

配信の面白いところは、トライしやすいところですね。オリジナルストーリーの脚本の富安美尋さんは、まだ20代の方ですが、拝見した舞台の台本が面白かったので、今回執筆を依頼しました。

ほかの役職でもそうですが、新しい方をいきなりプライム帯の連ドラで、とはお願いしづらい面もありますよね。配信は若いスタッフが経験を積む場にもなっていると思います。ただ、こちらが指導する部分も多くなるので、私自身の仕事としては大変なことも増えますけどね(笑)。

若手の起用という意味では役者さんもキャスティング段階から、視聴者の年齢層が若い配信向きかどうかは意識しますね。

山下さんはお目にかかったとき、非常に落ち着いた雰囲気で、後輩に好かれるオフィスラブの主人公にぴったりだと感じました。高橋さんも以前から存じあげていたのですが、秋葉の役を誰にするか考えたときに、真っ先に頭に浮かびました。2人とも本編ではオフィスで働く姿ばかりなのですが、オリジナルストーリーでは、かなりキュンキュンした演技を見せてくれています。そういう面を描けたことは、配信がなければ実現できなかったことですね。

『着飾る恋には理由があって』では、配信のほかに、YouTubeで見どころ動画を毎週流したり、登場人物のSNSアカウントを実際に作って運用したりと、ネットを多角的に利用しました。作品にもよると思いますが、配信やネットとの連携は、有効活用すれば面白いと思います」

『着飾らない恋には理由があって』
 『着飾る恋には理由があって』のオリジナルストーリー。Paraviで全話独占配信中。本編のウラで進行するオフィスラブの行方を描く。山下によれば、舞台となる広報部を乃木坂46に例えると「男気ある真柴さんみたいな先輩は生田絵梨花さん、秋葉君みたいな積極的なかわいい後輩は柴田柚菜ちゃんですかね(笑)」とのこと。配信中/Paravi

(日経エンタテインメント! 上原太郎)

[日経エンタテインメント! 2021年8月号の記事を再構成]

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