実写版『映像研には手を出すな!』でメインキャラクターを演じた乃木坂46の3人が、どのように役作りに挑み、撮影を通して得たものは何か――。前回の「乃木坂46の齋藤飛鳥 『映像研』で恥じらい取り払えた」に引き続き、今回は山下美月に話を聞いた。

『映像研には手を出すな!』で、カリスマ読者モデルでありながらアニメーター志望の水崎ツバメを演じる山下美月。初めてこの話を聞いたときは演じきれるかと悩んだそうだが、覚悟を決めると、水崎が持っている「すがすがしさ」や「観察力の鋭さ」を取り入れて演じてみせた。そのなかで、乃木坂46にいるときの自分と水崎の共通点に気付いたという。
「お話をいただいて、『映像研』の原作マンガを読んで感じたのは、どのジャンルにも分けられないな、ということ。『青春モノ』ではくくれない世界観の強さがあるし、『学園モノ』といっても浅草、水崎、金森のプロ意識は高校生を超えていると思うんです。だから、最初はすごく悩みました。どう考えても妄想シーンなど実写化は難しい作品なので、私ではない方が演じたほうがいいんじゃないかって。
でも、1人だったら乗り越えられないだろうけど、(齋藤)飛鳥さんと梅(梅澤美波)と気持ちがリンクすれば、なんとかなるかもしれないと、チャレンジすることを決意したんです。現場に入ると、スタッフさんたちはみなさん誰もが2次元の壁を超えられると信じていて、自分もテンションが高まってきました。
私が演じた水崎ツバメちゃんは熱い人だと思います。両親が人気俳優で本人は超人気カリスマ読者モデルという、一般の人から見たらうらやましい立場。だけど、『アニメーターになりたい』という理想に向けて、自分の熱を信じて行動を起こしているから。印象に残っているのはドラマの第1話で、両親が雇ったボディーガードから逃げて川に飛び込むシーンです。お嬢様として育ってきたのに、あんなふうに躊躇なく踏み出せる人ってなかなかいないと思うんです。
両親が人気俳優であることに甘えていないところもツバメちゃんの人間力で、あふれ出るすがすがしさは1つの才能だと思いました。一方で読者モデルでもあるから、プロでありながら親近感もあって。モデルの仕事をしているときはどこか演じている部分があるけど、映像研の2人といるときは完全に素になる。その切り替えは意識して演じました」