会社選びのポイントは「変化への対応力」
――これからの転職先選びにおいて重要な点は何ですか。
「『変化への対応力がある会社・業界なのか』という観点は持っておいたほうがよいでしょう。コロナ禍での働き方については、柔軟に対応した会社とそうでない会社に分かれました。在宅勤務の導入は注目しやすい点ですが、在宅勤務しづらい業態はあるので、在宅勤務できないからよい職場ではないと単純に判断はできません。たとえ導入されていなくても、コロナ禍への対応が迅速にできていたかなど、会社の変化への対応力を調べるとよいでしょう。社員を大切にしているかをはかる基準になります」
「多様な働き方を認めているかという点もヒントになります。一例として、在宅勤務以外にどんな働き方があるのか。たとえば、育児・介護中以外の人にも、時短勤務制度があり、実際に運用されているかなどです」
――新しい職種が広まっています。どういったスキルを持っていると、転職先の選択肢が広がるでしょうか。
「新しい職種といっても、全く新しいものが登場した、というよりは、これまでも仕事として世の中に存在していたものが、特定の部分や側面が切り出されて一つの職種として認識されてきたというものが多いように感じます。例を挙げると、受注後に顧客のフォローをして解約率を下げる『カスタマーサクセス』は、これまで『営業』で顧客フォローとして行っていたことがより専門的に切り出されたとも言えます。新しい職種だからと身構えることなく、顧客サポートやフォローの経験があれば未経験でも転職のチャンスはあるのではないでしょうか」
「何か別のスキルが必要なのではなく、これまで培ってきた経験やスキルをどう膨らませて新しい仕事で生かせるのかがアピールポイントになります。そのためにも、本格的な転職活動を始めるまでにキャリアの棚卸しをしておくとよいでしょう」

2006年に毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)に中途入社。以後、「マイナビ転職」を中心とした中途採用支援に従事。東京、近畿、東海エリアの営業統括部長を経て、17年から「マイナビ転職」編集長。18年転職情報事業本部副事業本部長、20年執行役員。
(日経転職版・編集部 木村茉莉子)