取り組むべきは「目標」「柔軟性」「幸せポイント」
――秋以降の転職を検討している人や、漠然とキャリアアップを考えている人などが、今から始めるべき準備を教えてください。
「1点目は自身について振り返り、転職でかなえたい目標を明確にすることです。これは転職活動における初期段階の準備として重要になります。若い世代であれば、将来の夢や目標に向かってどういったキャリアを歩みたいのかを意識してほしいです。海外関係の仕事に就きたいなら、その希望をかなえるために必要なスキルや経験は何か。今就いている仕事の専門性を深めてから挑戦するのでもいいですし、直接海外関係の仕事ではなくても、いったん別の仕事で経験を積んでから夢や目標を目指すことも検討するとよいでしょう。一見、遠回りに見える仕事でも、選択肢やチャンスを広げることにつながります」
「2点目は柔軟性を持ち合わせているかの確認です。第三者の情報を取り入れながら自分の価値観をアップデートさせていく柔軟性があれば、転職後の新しい職場にも適応しやすいと思います。コロナ禍で内向きの思考になりがちな今だからこそ、職場以外の人と積極的に話す機会を作り、多様な価値観・考え方に触れ、それを受け入れるようにするとよいでしょう」
「3点目は自分の『幸せポイント』、つまり働いて充実感を感じるのはどんな時なのかを考えることです。仮に転職理由が『給料の低さ』だとしましょう。本当に給料が現状よりも上がればいいだけなのか、それとも仕事上で何かプラスの変化があった結果、給料が増えればいいのか。ネガティブな理由だけで転職すると、一度それが解消されたとしてもまた同じ不満が芽生える可能性があります。マイナス面から転職を考えることを否定するわけではありませんが、前向きな理由を持っていたほうが転職後の働き方によい影響を与えます」
――前向きな転職理由を探すためのコツはありますか。
「『こんな職場で働いてみたい』という簡単なことでもかまわないので、自分は何を望んでいるのか、どのようなことで自分が嬉しくなるかを探してみてください。漠然とキャリアアップをしたいと考えているのなら、自分にとってのキャリアアップとは何かを自分の言葉で表してみましょう」

「正解はないですし、変化していくものでもあるので、時間が経つにつれて判断軸が変わっても問題ありません。ただ、『今はこう思っている、これを実現したい』ということが自分ではっきりと分かっていたほうが、転職活動を進めやすいでしょう」