こまめにちょこちょこ有酸素運動をプラスすることで、「筋肉の質を上げる」対策は万全だ。さらに、「筋肉の量を増やす」ためのレジスタンス運動も加えたい。

「腹筋、腕立て伏せ、スクワット。この3種類の筋トレを週2~3回行えば、上半身と下半身の大きい筋肉の量を増やし、筋力を高めることができます」(田村さん)。続けるうち、いつもより軽やかに立ち上がれる、階段を楽に上れるようになった、という実感が得られるはずだ。

筋トレはこの3メニューを

ゆっくりした動作で1種目10回を2~3セット。これを週2~3回続けよう。

メタボを予防し筋肉の健康をキープする食事とは?

最後に、筋肉を維持するための「食事」についても田村さんにアドバイスしていただこう。

「やせメタボ」の原因となる脂肪筋のある人は、高脂肪食が多かった、ということは第1回でも教えてもらった。

「かといっておかずを減らすのはよくありません。年齢とともに筋肉は減少し、運動しても、合成されにくくなります。特に糖尿病の人は、筋肉が減少しやすいこともわかっています。筋肉減少を防ぐため、筋肉の材料となるたんぱく質を、肉や魚、豆腐や乳製品などからしっかりとりましょう」(田村さん)。田村さんのお勧めは「鶏肉」。鶏肉には、とりすぎると動脈硬化を促進する原因となる飽和脂肪酸が少ないからだ。

「量の目安は、体重1kgあたり1gのたんぱく質(体重60kgの人で約60g)。これを、おかずだけからとるとすると、『体重の5倍』と覚えてください。体重60kgの人なら、60×5で、300gの鶏肉をとります。肉100gで約20gのたんぱく質がとれます[注1]。1食あたり100gを目指せば、1日3食で目標達成できます。基準通りのたんぱく質量をとることができている人は朝食でしっかりとっている、ということもわかっています。朝食でたんぱく質をとらないと、昼と夜ではなかなか挽回できません。朝食のときに、豆腐や納豆、卵、魚やヨーグルトをとるといいでしょう」(田村さん)

当然ながら、糖質のとりすぎは血糖値を上昇させ、脂肪筋やメタボのもとになる。

「ごはんやパン、麺類は見た目でわかりやすいのですが、盲点となりがちなのが、ポテトサラダやかぼちゃの煮物、食後の果物、ジュースなど。これらは糖質が多いにもかかわらず、糖質にカウントできていない人が多いのです。これらも糖質にカウントし、もしとるのであれば主食の量を3割ほど減らす、というふうにして、とりすぎないように意識しましょう」(田村さん)

40代から進行している、メタボ化や筋肉の減少を食い止めるためには、体をよく動かして、たんぱく質を補うことが大切だ。

さらに、田村さんはダイエット志向によって「やせている女性」が年々増え続けていることで「やせメタボ」の人が今後増えていくことも危惧しているという。

「日本人女性の8人に1人、20代女性では5人に1人以上がやせと判定されています。全世界で過去20年間(1997~2016年)に女性のやせの割合が増加したのは、日本とシンガポールのみ。現状でやせている女性たちが高齢化世代に突入する頃には、糖尿病の人はさらに増え、サルコペニア(加齢による筋肉量減少)や、骨粗しょう症、転倒・骨折、さらに認知症も今よりもっと増えるかもしれません」(田村さん)

メタボやさまざまな病気リスクは体形だけでは判断できないことを心にとめよう。「歩かない」生活はダメ。「しっかり食べてしっかり動く」ことが若々しさを維持する。自前の筋肉の健康維持に努めたい。

[注1]肉や魚のたんぱく質の比率はおおむね20%程度なので、100gの肉や魚でたんぱく質を約20gとれる計算。

(ライター 柳本操、図版制作 増田真一、イラスト 斎藤ひろこ[ヒロヒロスタジオ])

[日経Gooday2021年5月31日付記事を再構成]

田村好史さん
順天堂大学大学院 代謝内分泌内科学・スポーツ医学・スポートロジー 先任准教授。順天堂大学医学部卒業。糖尿病専門医。糖尿病の臨床とともに、インスリン抵抗性や異所性脂肪、運動の効果などの研究を行う。近著に『プラクティス・セレクション 今度こそできる!糖尿病運動療法 サイエンス&プラクティス』(医歯薬出版)がある。

「日経Gooday 30+」の記事一覧はこちら

医療・健康に関する確かな情報をお届けする有料会員制WEBマガジン!

『日経Gooday』(日本経済新聞社、日経BP社)は、医療・健康に関する確かな情報を「WEBマガジン」でお届けするほか、電話1本で体の不安にお答えする「電話相談24」や信頼できる名医・専門家をご紹介するサービス「ベストドクターズ(R)」も提供。無料でお読みいただける記事やコラムもたくさんご用意しております!ぜひ、お気軽にサイトにお越しください。