コロナで「動かない生活」 体力低下で死亡リスク高く

日経Gooday

テレワークで根を詰めると、一日中まったく動かないということも…。実は、歩かない、動かないはカラダにとってはとても危険。 (c) Tommaso Altamura-123RF
テレワークで根を詰めると、一日中まったく動かないということも…。実は、歩かない、動かないはカラダにとってはとても危険。 (c) Tommaso Altamura-123RF
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忙しさやおっくうさから、おざなりになりがちなのが「体を動かすこと」ではないだろうか。「動かない生活や体力の低下は、メタボだけでなく、死亡率や認知症にも関わります。そのリスクは40代ぐらいから進行していることもわかってきました」と、順天堂大学大学院代謝内分泌内科学・スポートロジーセンター先任准教授の田村好史さんは言う。「動かない生活」がどのように健康リスクにつながっているのかを聞いた。

座り時間が長いと死亡率が高くなる

「私が治療現場で対面しているシニア世代では、新型コロナによる健康二次被害といえる状況が起こっています」。糖尿病や肥満症の治療に当たり、日ごろから患者さんと接している田村さんはこう語った。

田村さんによると、シニア世代には「これまでと変わらず外に出て運動をする人」と、「感染を恐れて、一切外に出ない人」という二極化が起こっているという。感染を拡大させないためにも外出を自粛することは重要だが、別のリスクも増えるという。

「外出自粛で活動量が大幅に減ると、筋肉が減り、筋力が低下してしまいます。健康な高齢者が2週間、あまり動かない生活を送ると、脚の筋肉量が3.9%減少したという報告もあります[注1]。60歳から80歳にかけては、1年あたり約1%ずつ下肢の筋肉量が低下するので、不活動状態でいると、単純計算はできませんがわずか2週間でも老化が進むといえるかもしれません」(田村さん)

[注1]J Clin Endocrinol Metab. 2013 Jun;98(6):2604-12.

もちろんシニア世代だけが問題なわけではない。働き盛りの人にもリモートワークによる弊害が出てきている。リモートワークで明らかに長時間化しているのが「座り(座位)時間」。この座り時間と死亡率の関係を調べた調査がある。約100万人を対象にした13の研究を解析したところ、座り時間が長くなり、身体活動量が少なくなるほど死亡率が高くなるというのだ(下グラフ)。

座る時間が長くなり身体活動量が少ないと死亡率が高くなる

約100万人を対象にしたヨーロッパやオーストラリアにおける13の研究をまとめて解析。座り時間が長くなり、かつ、身体活動量が少なくなるほど、死亡率が高くなる傾向にある。また、同じ身体活動量でも、座り時間が長いとリスクは高くなる(データ:Lancet. 2016 Sep 24;388(10051):1302-10.)[注]横軸の値を1日あたりの中強度の身体活動時間に換算すると、>35.5メッツ・時/週=60~75分、30メッツ・時/週=50~65分、16メッツ・時/週=25~35分、<2.5メッツ・時/週=5分、にそれぞれ相当する。

デスクワーク作業が長くなることは職業柄避けられない人であっても、できるだけ歩数を増やすように意識をしないと、健康リスクを高めてしまうことがわかる。

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