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中小企業経営者の高齢化が進む(写真はイメージ)=PIXTA

中小企業経営者の高齢化が進む(写真はイメージ)=PIXTA

従前から日本企業の大きなテーマだった事業承継問題は新型コロナウイルス禍を経て、いよいよ待ったなしの状況になっています。経済産業省の調べによると、2025年には60%以上の中小企業経営者の平均年齢が70歳を超えると予想しており、127万社に上る中小企業が後継者難に陥るとされています。コロナ禍の影響で足元の経営環境も厳しくなっている状況を踏まえ、経営のテコ入れなどと併せて後継者問題に対処しようという動きが加速しています。

既に関連する動きは活発化しており、コロナ禍後に向けて大きな潮流になることは間違いありません。事業承継で必ず課題になるのが、うまく承継するための幹部人材の確保です。今回は事業承継で発生する以下の4つの幹部人材採用ニーズに着目してみます。

(1)後継社長候補を直接採用する
(2)中小企業を買収した投資ファンドが社長や経営幹部の候補を採用して送り込む
(3)経営者の子供が社長を引き継ぐ前提で、新社長を支える中継ぎ候補を採用する
(4)顧問や社外取締役などを招へいする

まず1つ目のケースから見てみましょう。基本的にオーナー社長が最も望むパターンは創業以来、あるいは何代かにわたって共に歩んできた社員たちの中からバトンを渡せる後継者が登場してくれることでしょう。しかし、それがかなう企業の方が少ないのが現実です。なぜかということについては、今後のミドルやシニアの生かし方と当人側の意識改革の問題があり、この連載でも後日取り上げてみたいと思います。

内部登用がかなわないオーナー社長が検討するのが、社長を引き継げる幹部を外部から招くことです。最も妥当な選択肢である一方、一足飛びにはいかないリクルーティング活動です。当社でも顧客企業の後継社長候補については常時リサーチしており、後継候補者とオーナー社長を折々引き合わせています。

我々が介在することで、求める要件や事業、ビジョンへの共鳴、オーナー社長と後継候補者の相性などについてはクリアできます。これでバトンを引き継ぐべき後継者の選定が無事完了するのですが、ここで問題が発生することも少なくありません。

オーナー社長と後継候補者のせめぎ合いに注意

「最初から社長を任せていただけるのでしょうか?」「うーん、いきなりというわけにはいかないねぇ」。

「後継というからには、全事業・部門の最終決裁をお任せいただきたい」「最初から全部を見るのは無理じゃないか?」。

やるからには全権委任してほしい候補者と、後継者とはいえ(後継者だからこそ)しっかり我が社のことを理解するまでは自分の下でやってほしいオーナー社長。両者の思いがぶつかり、せっかくの縁が破談になることもあります。もちろん個別のケースごとに望ましいパターンは異なりますが、我々が見ていつも感じるのは以下のようなことです。

●オーナー社長は後継を託すと決めたからには、当人にしっかり任せきる。その上で自社の内部慣習や独自ルールなどを知るまでしっかり後方支援する。
●後継候補者はオーナー社長の気持ちを理解し、敬うこと。一定期間の伴走は自分からお願いした方が良い。

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