「会員とつくり上げるサービス」で差異化

初年度はサーバー数に限度があることから会員を3万人までとし、それ以上の応募があった場合は抽選とする。会員のドラフターズは単なるお客ではなく、アサヒビールとともにサービスを充実させていくメンバーと位置付ける。というのも、このサービスの基本方針は「会員との『共創』」。主にSNS(交流サイト)を通じてラインアップの拡充や商品パッケージ、サーバーのバージョンアップなどのアイデアを会員から募り、それを形にしていくという戦略だ。

「ビールに、自由と冒険を。」をスローガンにドラフターズのサービスを導入(画像提供:アサヒビール)

家庭用の生ビールサーバーは先行するキリンビールの「ホームタップ」が17年にサービスを開始し、21年は会員数10万人を目標に本格展開を始めている。後発となるドラフターズで差異化を図る戦略として、アサヒビール専務取締役マーケティング本部長の松山一雄氏は、「新しい価値を生まないと選択肢に上がってこない。会員と一緒につくっていく進化系のサービスにすることを一番の売りにする」と語った。

ホームタップと一線を画す戦略は名称にも表れている。家庭を表す言葉を用いず、ビールを楽しむ人そのものをサービス名に冠し、同社が目指す「お客さま主役の『統合型マーケティング』」を具現化している。実際に「イエナカ需要」以外での楽しみ方を提案するため、希望者にはサーバーとミニ樽3本、グラスが収納できる専用のキャリーケースも販売予定で、キャンプ場やアウトドアへの持ち出しも可能にする。

専用のキャリーケースも販売予定(画像提供:アサヒビール)

4月には新しい缶容器「生ジョッキ缶」も発売しているが、「生ジョッキ缶はすべての生ビール好きがターゲット。間口が広く、ツイッターでも盛り上がっており、ビール初心者を含めた新しいユーザーを取り込めるのではないか。ドラフターズは注ぐという行為に価値を感じる人がメインターゲット」と松山氏。

「初年度はなるべくシンプルに」(松山氏)の言葉通り、液種はスーパードライ1本に絞る。ラインアップの拡充は会員のフィードバックを参考に検討する。エクストラコールドのおいしさを自身のサーバーで体験したユーザーが、今度は取扱店を指名して訪れるといった送客効果が表れれば、コロナ禍で苦境にあえぐ飲食店にとっての救済にもなるだろう。

(ライター 北川聖恵)

[日経クロストレンド 2021年4月14日の記事を再構成]

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