欧州の仕事スタイル オフィスではノータイが「常識」に

――英国は特に男性の装いの文化が豊かですね。

「ブランドやモノの一つ一つに物語がたくさん隠れている。ただ、英国人は身体が大きく、既製服のサイズは私には合わない。だからどうしても雑貨に走りがちになりました。服で買いやすかったのはイタリアブランドです。イタリア人は全般におしゃれ好きですよね」

――欧州のおしゃれの感性、価値観をどうみていましたか。

「英国人は、お金を持っている富裕層はええもん着ているな、と一目で分かるし、見栄えがします。この国では階層がくっきりと着るモノに反映されていて、ジェントルマンズクラブにいるような品のいい金持ちは正統派の服装、チャイナマネー、アラブマネー、ロシアマネーの金持ちは成り金的なおしゃれ、と分かりやすい。対してフランスはスマートといいますか、富裕層でもこれ見よがしに飾らないかっこよさがある。ただ、欧州滞在での一番の気付きは、意外とおしゃれじゃないなあ、ということでした」

欧州では、日本以上にビジネスシーンでのスーツ離れが激しいという。「スーツを着るのはもはや金融業だけです」

――日本ではカジュアル化が進み、スーツ離れが指摘されています。欧州はどうですか。

「本当にもはや、スーツを着ているのはバンカーだけ、という感じでした。しかもそうした金融界のビジネスパーソンも、外に出向くときはスーツを着てネクタイを締めますが、オフィスのデスクで仕事をするときはネクタイをしていません。あらゆる世代がそうでしたね」

――スーツはあくまで外へ出て行くときのための制服なのですか。

「そうです。スーツは信頼を得るための服装なのです。金融マンは夏であっても、大事なクライアントに会うときや、まだ信頼関係が築かれていない相手と話をするときはスーツとネクタイです。あるいはジャケットにネクタイが普通。ほとんどの職種が、仕事をするときはカジュアルでもいい、という雰囲気になっているなかで、やはり金融だけは違うと感じました。仕事の装いの変化といえば、日本よりも欧州の方がカジュアル化の波が激しいと思います」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)


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