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答えと解説

正解は、(1)青みのあるバナナ です。

日本で最も消費されているフルーツであるバナナ(総務省家計調査、2018年)には、腸の調子を整えるマグネシウムや食物繊維、トリプトファン、フラクトオリゴ糖などがバランスよく含まれています。

「バナナを食べるとお通じが良くなると、体感的にご存じの方も多いかもしれません。それは、バナナに含まれるマグネシウム、食物繊維の働きによるところが大きいといえます。マグネシウムには、腸の細胞から水分を引き出して、便を軟らかくする作用があります。そのために、排便がスムーズになるのです」。腸に関する数多くの著書を手掛ける松生クリニック院長の松生恒夫さんはそう話します。

マグネシウムは、私たち日本人に不足しがちな栄養素の1つです。マグネシウムの1日の摂取量の目安は、成人男性で350mg前後、 成人女性で280mg前後とされていますが、実際の摂取量は、平均で約240mgとなっています。バナナは中サイズ1本分(100g)にマグネシウムが32mg含まれているので、日常的にとりやすい食材として勧められます。

一方、トリプトファンは、ビタミンB6などとともに神経伝達物質のセロトニンの合成に必要な物質で、その95%は腸で産生され、腸管運動(ぜん動運動)を起こすのに使われます。さらに、バナナには難消化性のオリゴ糖である「フラクトオリゴ糖」も含まれています。「難消化性のオリゴ糖は、大腸まで届いて、善玉菌の代表であるビフィズス菌のエサとなることで、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を改善します」(松生さん)

この難消化性のオリゴ糖は、バナナが成熟するにしたがって、分解されて甘みのある糖質に変わっていきます。「整腸作用を期待したいときには、まだ完熟に至っていない、青みのあるバナナを選ぶといいでしょう。青みの残る硬いバナナには、難消化性のデンプンが多く含まれているからです」と松生さんは話します。

一方、美肌効果を期待したいときには、熟して抗酸化作用のあるポリフェノールが増加した黄色いバナナがお勧めです。「茶色斑点(シュガースポット)が多くなったバナナは、ポリフェノールがさらに増え、免疫力を高めるインターロイキンや、胃の粘膜を保護するリン脂質も増加します」(松生さん)。

バナナは安価で、1年を通して店頭に並んでいるため、気軽に食生活に取り入れられます。「バナナは低カロリーでも腹持ちがいいため、夕食の30分前に食べれば食事の量を控えられ、ダイエットにも活用できます。忙しくて朝食を食べる時間がないときなども、バナナだけでもサッと食べるといいでしょう」と松生さんは話しています。

この記事は、 「腸には『青バナナ』、美肌には『黄バナナ』」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/19/011500002/060500028/(松生恒夫/まとめ:田村知子)を基に作成しました。

[日経Gooday2020年12月7日付記事を再構成]

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