2020/11/27
【受賞者】
米良はるか(めら・はるか)さん(33歳) 
READYFOR 代表取締役CEO

約10億円を集めた「コロナ基金」開設など
クラウドファンディングでコロナ対策に貢献

多数の個人から、プロジェクト達成のための資金を集める仕組み「クラウドファンディング(CF)」。READYFORは国内初のCFプラットフォームであり、「寄付型」と呼ばれる、社会貢献要素の強いタイプのプロジェクトでは国内をリードする存在。同社は今年、「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」を感染拡大初期の4月3日に開設して約10億円を集め、コロナとの戦いに貢献。他にも逆風にさらされた旅行・飲食・イベントなどの業界を中心に多数のプロジェクトを成立させ、各企業が存続のためのお金を集められる仕組みを主導した。

【受賞者】
尾形優子(おがた・ゆうこ)さん 
メロディ・インターナショナル CEO

妊婦のオンライン検診システムを開発
地方から世界市場を攻める

胎児の心拍や陣痛を計測できるモバイル型遠隔胎児モニターを香川大学と共同開発。この機器を使えば、妊婦が自身で計測したデータをスマホで送信し、医師が遠隔診断を行える。産科不足の地域でも安心して周産期を過ごすことを可能にした。国内に先駆け海外に進出。タイ・チェンマイの全公立病院で導入され、ブータンでも政府が導入を決定。遠隔診療に慎重だった国内では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ニーズが急拡大。全国の大学病院などで実証実験が進んでいる。

【受賞者】
村本理恵子(むらもと・りえこ)さん(65歳) 
ピーステックラボ 代表取締役社長

「第5の人生」で個人間レンタルを起業し成功!
人生100年時代を体現するロールモデルに

個人と個人が、匿名かつ有料でモノを貸し借りできるプラットフォーム「Alice.Style(アリススタイル)」を2016年に設立。今年、コロナ禍でニーズをつかんで急成長を果たした。なお16年の起業時、村本さんは既に61歳。今まで、調査会社→大学教員→ネットベンチャー経営→映像会社と、おおむね10年ごとに異なるキャリアを渡り歩いてきた彼女にとって、この起業は「第5の人生」。人生100年時代、長寿と付き合う女性たちに、一つのロールモデルを提示した。

【受賞者】
佐野 環(さの・たまき)さん(49歳) 
キリンホールディングス 
執行役員、ヘルスサイエンス事業部長

不振にあった乳酸菌事業を再ブランディング
初の「免疫」機能性表示食品としてヒットさせる

長年に渡る社内の免疫研究で生まれ、商品化されるも、定着しなかった「プラズマ乳酸菌」に改めて着目し、再ブランディング。同乳酸菌を使ったペットボトル飲料とサプリメントからなるブランド「iMUSE(イミューズ)」は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、免疫活性化への期待から口コミで人気が拡大。2020年は前年比2倍超で推移。8月には免疫の機能性表示食品の第1号として届け出受理され、今冬さらに売り伸ばす計画。自身では30代で開発に携わった「氷結」に続く2度目のヒット商品。

【受賞者】
山野千枝(やまの・ちえ)さん(51歳) 
一般社団法人ベンチャー型事業承継 代表理事

中小企業の「後継ぎ」を支援する団体を率い、
後継者による新規事業創造を後押し

後継者不在による中小企業の廃業が相次ぐなか、中小企業の若手後継者によるベンチャービジネス支援に特化した団体を創設。後継者同士が悩みをシェアし、ビジネスアイデアについて意見交換できるオンラインサロンを運営し、国や自治体、企業と組んで、後継者たちが新規事業アイデアを競うピッチイベントなども開催する。孤立しがちな後継者たちに横のつながりと、切磋琢磨できる場を提供し、ネガティブなイメージが先行しがちな「後継ぎ」の世界の変革をリードしてきた。

【受賞者】
中村有沙(なかむら・ありさ)さん(34歳) 
オアシススタイルウェア 代表取締役

「スーツに見える作業着」が10億円のヒットに
アパレルと無関係の水道工事会社発の快挙

見た目は完全にスーツなのに、現場作業に耐えられる伸縮性や耐水性、形態安定性を持ち、洗濯機で丸洗いもできる「ワークウェアスーツ(WWS)」。水道工事を手掛ける企業の社員だった中村さんが、自社用の作業服として開発したWWSは、2018年に一般販売を開始、20年には早くも売上高10億円(法人向け含む)を超えるヒット商品に育った。既に650社が自社の制服として採用。アパレルのノウハウは皆無の小規模ベンチャーが、快挙を成し遂げた。

■日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」について

「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」は、(1)働く女性のロールモデルを提示する、(2)組織の中に埋もれがちな個人の業績に光を当てる、(3)活躍した女性たちを通して時代の変化の矛先をとらえる、という趣旨のもと、1999年から毎年実施しているアワードで、本年が22回目となります。『日経WOMAN』は、1988年の創刊以来、「働く女性」をバックアップしてきました。今後も「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」を通じ、社会で活躍する女性を表彰することで、時代を担う女性たちを応援していきたいと考えています。なお2020年12月7日発売の『日経WOMAN』2021年1月号では受賞者紹介と審査結果の詳細を掲載いたします。
 


●審査員(50音順)
・入山章栄さん(早稲田大学ビジネススクール 教授)
・小巻亜矢さん(サンリオエンターテイメント 代表取締役社長、ウーマン・オブ・ザ・イヤー2020大賞)
・篠田真貴子さん(エール 取締役)
・出口治明さん(立命館アジア太平洋大学 学長)

●審査方法
以下4つの評価基準で採点、審査員4人と編集部の総合得点で決定。
(1)新規性 着眼点の新しさ。イノベーションを起こし、新しい価値観を提示・実現したか。
(2)成功度 今年のビジネスの業績。社会への貢献度。
(3)社会へのインパクト 社会に多くの影響を与え、その発展・改革につなげたか。人々の心を豊かにしたか。
(4)ロールモデル性 自ら切り開いたキャリアの道筋が、読者にとってモデルとなるか。