就活生にいま考えてほしいこと 内定あってもなくても
人事部の視点(23)
皆さんこんにちは。航空会社のフジドリームエアラインズで総務人事を担当しております小山仁です。今回は現在の就活生が置かれている状況を2つのパターンに分けて考えたいと思います。
【1】内定をもらい、就職先が決まっている人へ
第1志望に内定した方、内定はあるけれど正直にいえば納得していない方など、就職先が決まっている場合でも、いろいろな方がいると思います。
現時点でベストの選択
でも、結局はご自身が決めたことです。ですから今、そういう方にお伝えしたいのは、自分の感情はともかく「その進路が自分にとって、現時点ではベストの選択肢である」とまずは信じることです。前向きに仕事をしなければ、うまくいくものもうまくいきませんからね。
そして、残りの学生生活はわずかですから、自分の思う通りに時間を使ってください。いろいろな人と向き合い、知識、文化、価値観と出合ってほしいですね。コロナ禍の中ではなかなか難しいところですが、デジタルツールも使いながら、本や映画にたくさん触れると良いと思います。
あともうひとつ。自分の友達で内定がない人がいたら、ぜひ声をかけてあげてください。アドバイスや情報を提供するのはもちろん、話を聞くだけでもいいです。必要以上に悩んでいたり、孤独を感じたりしている人が多いと思いますので。
【2】内定が一つもない人へ
焦ったり、不安に思ったり、自分を否定したり、いろいろと悩んでいると思いますが、まずは次の2つの厳然たる事実を認識してほしいと思うのです。
(2)落ち込んだり、嘆いたり、すさんだり、引きこもったりしていても、何も解決しない。
まずは(1)から解説していきます。日本には一体、企業がいくつあるかご存じですか?
総務省統計局のデータなどから推察すると、実は400万社弱が存在すると思われます。そのうち大手ナビサイトに登録している会社ですら2万~3万社もあります。
皆さんが(エントリーではなく)実際に受けた会社は、多い方でもせいぜい数十社であり、100社以上という方はまれでしょう。今年はコロナ禍の影響もあって、採用を控えた会社も少なくなかったのは事実ですが、それでも皆さんが受けた会社数は全体からみればほんの一部です。そこでぴったりの会社に出合える確率は、実はかなり低いのではないでしょうか。内定を承諾した方も、その会社が自分に合っているだろうと「思っている」だけです。本当のところは入ってみないと分かりません。
自分に合わない会社に入ったところで、長続きもしないし、不幸になるだけなので、むしろそういうことにならなくて良かったと捉えてください。
続いて(2)です。周りの友達は就活を終えている人も多く、すでに後輩も就活を始めている中で、ひとりで悶々(もんもん)としたり、やる気も起きなくて、閉じこもりがちになったりするのは当然だと思います。ただ、それで何も行動を起こさなかったら、その状態がずっと続くだけです。
そこに一体何の意味があるのか、ということです。学生生活は永遠ではありません。必ず終わりがあります。その貴重な時期を「現実から逃げ回る形」で終わらせてしまうのはあまりにもったいないと思うのです。
逢うべき人に必ず逢える
では、具体的にどうするのか? とにかくアクションを起こす=行動することです。
やっぱり一般企業に就職したいと思うのであれば、採用を続けている会社やセミナーを探し、参加してみる。まだまだ来年2月ぐらいまでは確実にどこかで実施されています。
あるいは、すっぱりと来春の入社を諦め、2022年4月入社を目指して、就活を新たに始める。
はたまた他の選択肢(公務員、資格取得、進学、起業など)を検討して、そのために動く。
さらに大事なのは、行動を続けることです。一回アクションしてもすぐに結果が出る訳ではないので、継続することが何より肝要です。成功の絶対条件は「成功するまで続けること」ですから。
もちろん、同じ失敗は避けねばなりませんので、いま一度、自分の志向、適性、実力を確認し、それに合った選択肢に挑戦してください。
希望の会社に入れて本当に幸せなのは、入社後しばらくの間だけかもしれません。好きだったから、いつまでもうまくいくとは限らないですからね。幸せが続くためには「相性」も大切です。
人生には自分で決めたりコントロールしたりできないことがたくさんありますが、積極的に自己選択できる余地も大きいと思うのです。せめてその部分は、他人や何かに委ねず、自分で決めましょう。せっかく決める権利を持っているのにそれを放棄するのは、とてももったいない。自分の人生の主人公は自分ですから、自分で選び、自分の望む生き方をしてほしいと強く願います。
哲学者・教育学者の森信三(1896~1992)の言葉で私が大好きな言葉があります。最後にそれを紹介します。
人間は、一生のうちに逢(あ)うべき人には必ず逢える。
しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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