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就活の自己PRにガクチカは不要 身近な改善こそ武器

人事部の視点(21)

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NIKKEI STYLE

 就職活動の学生と企業の接点である採用担当者が自身の体験や就活生へのアドバイスを語る連載「人事部の視点」。第21回は、学生時代に力を入れたこと、略して「ガクチカ」が、面接などの際の自己PRに必要なのかどうかがテーマです。(前回は「仕事か彼女か?「正解ない問い」に迷ったときの処方箋」)

こんにちは。航空会社のフジドリームエアラインズで採用を担当している小山仁です。テーマにある「ガクチカ」については、学生さんから「正直、特に取り立ててアピールできるほどのネタもないんですが、どうしたらいいですか」という質問をよく受けます。

そもそも個人的には「アピールするネタ=ガクチカ」という考え方そのものが違うのではないかと思っています。アピールするネタはほかにもあるのに「ガクチカしかない」と思いこんでいる学生さんは非常に多い。どうしてそう決めつけるのだろう、と感じるわけです。

特別な実績などないのが普通

次にあげる2つの明確な事実を考えてみてください。(1)高い実績をあげた人、特別な経験を積んだ人は、そもそも絶対的に少ない(2)企業の採用人数としては、「普通の人」の方が圧倒的に多い――。高い実績や特殊な経験のある人なんてほんの一握りです。だから基本的には「普通の人材」を採っていくべきであることなど、大抵の企業は分かっています。

セミナーやインターンなどで他の就活生たちの話を聞くと、特別な経験がある人だらけと感じてしまう方も多いと思います。ですが、それはその相手がそれっぽく見せているだけであり、つまりは「盛っている」か「つくっている」か。まともな面接官がいくつか深掘りの質問をすれば、すぐに見破られます。

よくあるのが、とにかく話に数字を入れ込むパターン。説得力が高まると考えてのことだと思いますが、ちゃんと意味のある数字でなければ「実績」とは受け止められません。例えば「私はサークル活動に力を入れました。学祭の時に、〇〇をして、サークルの模擬店の売り上げを前年比20%上げました」といった類い。その中身を聞いていくと、本人がアピールしているネタが売り上げアップの主な要因だと言い切れるロジックや証拠がなく、売上総額も答えられない。具体的な取り組みを聞くと、実は別の人間のアイデアだったり、ごくごく一部分を人に言われてやっただけだったり。それをさも自分のアイデアやリーダーシップでやったかのように言ってしまう。墓穴を掘るパターンの典型ですね。

皆さんは大学生活を送る中で、授業やゼミなど学校の勉強のほかに、資格取得や語学力向上のためのダブルスクール、部活やサークル、アルバイト、趣味、ボランティアなど様々なことに取り組んでいると思います。それら日々の活動で、次の点を大事にしてほしいと私は考えます。

(1)何かを「感じる」

(2)そこで何かを「考える」

(3)その上で何らかの「自発的行動を取る」

成果より思考や姿勢

私が面接した学生A君を例にあげます。A君は、とある飲食店でアルバイトを始めましたが、そこは業務マニュアルも何もなく、すべて店長や先輩からの口頭で伝えられるだけ。仕事そのものは大変なため、アルバイトも入ってはすぐに辞めてしまう。店長(社員)とA君だけの状態が続くようになり、A君は肉体的にも精神的にも苦しく、逃げ出したかったそうです。

普通なら、A君も辞めてしまうところですが、A君は「このままではいけない」と思い(そもそもこのマインドが私はとても気に入りました)、まず自分でマニュアルを作成します。写真も貼って、分かりやすく工夫しました。そのマニュアルを使って新入りのアルバイトに教えるようになりましたが、当然ですがところどころ不備が出てきます。そこでA君は、その新入りと一緒にマニュアルを改訂し、次に入ってきたアルバイトでそれを確認・検証しながら改善していったのです。その結果、少しずつアルバイトも定着するようになりました。店長にとても評価され、後輩のアルバイトたちから慕われ、A君もまたそれがうれしくて、大学卒業までアルバイトを継続することになりました。

「特別」と言える事例ではありません。A君にとってもこのアルバイトは「生活のためのもの」で、彼のガクチカは部活動でした。面接後、私は彼と個人面談をしたのですが、冗談半分で「そのマニュアル見せてもらえるかな?」と聞いたら、実際にカバンから出して見せてくれましたので、この話は真実だろうと判断しました。このA君、もちろん合格となりました。

私が評価したのは、A君の成果というより、彼の思考と姿勢です。仮にA君の取り組みが望ましい結果に結びつかなかったとしても、何の問題もないと思います。諦めずに続けるスタンスが素晴らしいからです。逆にそのスタンスが正しかったから、成果も出たと思います。

それでも、何から何までこんなふうに取り組んでいては疲れ切ってしまうので、ひとつのことで結構です。つまり、すべてにおいて全く何も感じず、考えず、ただ漫然とこなすことだけは避けてもらいたいのです。

実際には、何も感じない、何も考えないで過ごすのはかなり難しい。勉強にしてもアルバイトにしても「だるいなぁ」「つまんないなぁ」「意味が分からないなぁ」「どうにかなんないかな、これ」なんて、よく思っていませんか? 実はそれがスタートなのです。そして次に大事なのが発想の転換です。

自分が思った負の感情に対して、「逃げる」「諦める」のではなくて、「改善」を考えてみましょう。好ましくない状態を少しでも良くするということです。自分にとってプラスこそあれマイナスはありません。

例えば、アルバイトをすると次のように感じることは日常茶飯事でしょう。「どうやったら、早く終われるか(無論、ズルしたりごまかしたりするのではなくて)」「どうしたら作業をもっと正確、きれいにできるのか」「もっとお客さんに喜んでもらいたい」「もっと時給を上げてほしい」……。そんな感情をきっかけに考えたことを、実行してみてほしいのです。うまくいけば継続し、だめだったら別のトライをしてみればいいのです。

ここで改めて強調しますが、この対象はガクチカである必要はありません。個人的には、むしろガクチカではない方がよいとすら思っています。「ガクチカをアピールしよう」と書いている対策本や、そうおっしゃるセミナー講師はたくさん存在しますが、私は正直、懐疑的です。

だって、自分が好きなこと、熱中していることなら、一生懸命やるのは当たり前。むしろ、本人にとって、何てことはないこと、特に思い入れのないことでも、上記のようなプロセスで取り組むことができたと説明した方が、ポイントは高いと思っています。そしてこのプロセスは、会社に入ってからの仕事にそのまま通じます。

どんな仕事にも正しくアプローチ

入社したてのころの仕事は、基本的に「与えられるもの」であり、本人の希望や適性は関係ないことが多々あります。「自分が好きではない仕事を与えても、この社員はちゃんとやってくれる」という信頼感はとても重要です。好きな仕事なら一生懸命やるけど、そうじゃない仕事になったらちゃんとやらない、それどころか辞めてしまうかもしれない人を採用したいなんて思う企業は、恐らくありません。

このプロセスができる学生さんなら、会社に入ってからも同じように取り組んでくれるだろう、と企業が期待できるのです。常に成果を出し続けるなんてことは無理ですから、結果を出すことの前に、正しいアプローチを継続できる人を会社は求めます。

正しいアプローチとは、真摯にその仕事に向き合い、自分でPDCAサイクルを回していくことです。現状を把握して何らかの策を考え(Plan)、実行し(Do)、その結果を検証・分析し(Check)、改善する(Act・Adjust)。これを継続できる人であれば、成果も安定的に出していける確率が高いのです。

仕事は毎日あります。しかし、すべてがドラマチックということはなく、当たり前のことや苦手なこともたくさんあって、それをきちんと一つずつやっていくことが大事です。部活もそうですよね? 毎日、試合があるわけではなくて、地道で苦しい練習の積み重ねですからね。仕事も全く同じです。

このようにして取り組んできたことを自らの「学び」として、そのままエントリーシート(ES)や面接で表現すればいいと思うのです。それは「平凡」ではなくて、「凡事徹底」という一つの立派な武器です。それができるのは「ただの」普通の人ではありません。「会社が期待できる人」になるのです。ゼミでも、部活でもサークルでもアルバイトでも、どれか一つでいいですから、始めてみてください。

私は静岡県にある創業218年の総合物流会社・鈴与で8年間採用に携わり、2019年からグループのフジドリームエアラインズに移りました。採用のほかに研修なども担当しています。今回から「人事部の視点」の執筆メンバーに加わりました。私の経験が少しでも将来を考える皆さんに役立てばと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。

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