一枚の紙に無限の可能性 東大寺学園の折り紙研究部東大寺学園中学・高校(下) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

この馬は3.6メートル四方の紙を約1週間かけてみんなで折ったもの
この馬は3.6メートル四方の紙を約1週間かけてみんなで折ったもの
男子校の進学校では文化系のクラブ活動が盛んなところも多い。東大寺学園中・高等学校(奈良市)では、折り紙というちょっと珍しい分野に取り組む研究部が元気だ。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が訪ねた。

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東大寺学園文化祭の新たな名物

昨今、男子校の文化祭で人気の展示は、たいてい鉄道研究会かクイズ研究会と相場が決まっている。奈良の東大寺学園中・高等学校でもそれは例外ではない。しかし近年、新たな名物になりつつある部活があるという。折り紙研究部である。毎週金曜日の放課後に教室で活動する。

2012年に有志団体として発足した。翌年に初めて文化祭で展示を行うと、そのクオリティーの高さが話題となり、同好会に昇格する。19年、クラブに昇格。文化祭を終えて高3が抜けた現在の部員は中高合わせて15人。人数がいちばん多い中3のメンバーが幹部を務める。

中3の部長に聞いた。

――部活の時間は何をするのですか?

それぞれに自分で好きなものを折ります。個人の自由を最大限に認めることがこの部活の特長です。

――だったら家でもできるのでは?

たしかにそうですけど、ときどき折り方のわからないところを相談したりします。

――本に書かれているとおりに折る折り紙と、自分でオリジナルの作品をつくるのとどちらが多いのですか?

やっぱり最終的にはオリジナルの作品をつくる達成感を求めているのですが、そのためには本に書かれている折り方をたくさん経験する必要があります。それが基礎練習となります。

――基礎練習はつらくなったりするのですか?

基本的には本を見ながら折るのも楽しいです。単調な作業をくり返さなければいけないときにはたまにつらくなりますけど。

――黙々と折り紙を折るモチベーションって何ですか?

折り紙に王道はありません。ただ自分で深めていくものです。でも、作品を見てもらって「すごい!」と認めてもらうような承認欲求はありますね。

――野球部なら甲子園を目指すという目標があると思うのですが、折り紙研究部の活動目的は何ですか?

文化祭での展示が年に唯一の発表の場です。

――個人として将来の夢はありますか?

折り紙で食っていこうとは思いませんが、趣味として続けて、いつかは折り紙の本を出せたらいいなとは思っています。そういう作家さんは何人かいます。

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