オンライン学習で何ができる? AIで苦手科目克服も

AI(人工知能)なら個々の学習者の苦手なところを解析し、その問題を解くのに必要な少し前の学習内容に戻ったり、似たような問題を出題したりできるわ。これはアダプティブラーニング(キーワード)ともいわれ、ある中学校が「キュビナ(Qubena)」というAI型ドリルを数学の教材として使ったところ、従来の半分の時間で習得できたという実験結果もあるの。

<キーワード>
エドテック 教育(エデュケーション)とテクノロジーを組み合わせた造語。デジタル技術を活用した新しい教育そのものや、それを提供するアプリやサービスを指す。国や自治体の教育制度に頼らなくても学べるのが利点。
アダプティブラーニング 学習者一人ひとりの学習進度や習熟度に合わせてコンテンツや学習方法を提供すること。従来も習熟度別クラスなどはあったが、学習者が間違えた原因をAI(人工知能)が解析・出題する教材の登場で容易になった。

効率的な学習向上が可能に

からすけ 勉強時間を減らせるなら、その分新たな知識も増やせそうだね。

イチ子 そうなの。例えば通信制の学校であるN高等学校(角川ドワンゴ学園が運営)はオンライン上で小説、声優、ウェブデザイン、株の運用、イカ釣り体験など様々な課外授業を設けていて、はやくから職業や社会課題を意識できるようにしているの。余った時間は生徒同士が議論したり、知識をどう生かすかを考えたりするのに使うということも可能よ。

からすけ オンライン化によって、なんだか勉強が本質から変わりそうな感じだね。

イチ子 エドテックに詳しいデジタルハリウッド大学大学院の佐藤昌宏教授は先生は知識を教えるだけではなく、その知識を使った活動をサポートするような役割が求められるようになると予想しているわ。

変化が求められのは先生だけじゃないわ。子どもたちも先生に言われたことを黙って覚えるのではなく、関心のある分野の知識を自ら学ぶことが大事になるわ。デジタル技術によって勉強の本来の姿に戻るということかもしれないわね。

からすけ 僕らはわからないことをネットで調べたり、動画投稿サイト「ユーチューブ」で情報を得たりするのは得意だから、教育がもっとオンライン化される将来が楽しみだな。

■鎌倉時代、学びは手紙から

東京都立桜修館中等教育学校・荒川美奈子先生の話 コンピューターがない時代の双方向の学びは手紙を使った通信教育でした。鎌倉幕府の3代将軍、源実朝は京都の文化に憧れ、歌人の藤原定家に和歌を添削してもらっていました。
定家に才能を評価され、励まされた実朝は、自身の歌を集めた「金槐和歌集」を編さん。定家はその中の一首を百人一首に採用しています。
わずか26歳で非業の死を遂げた若き将軍は、どんなに都からの返事を心待ちにしていたことでしょう。郵便すらなかったこの時代、通信教育は徒歩か馬で往復する使者に託すことで実現しました。
コロナ禍を受け、私もオンラインの授業に取り組んできました。インターネット回線が混雑して映像が途切れ、生徒がパソコンの前に座っていても授業に参加できないなどの問題が生じました。実朝の時代同様、現代の教育も優れた「通信環境」が欠かせないようですね。

[日本経済新聞夕刊2020年9月5日付]

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