ストレスにさらされている人たちに共通しているのは「満たされない」「達成感がない」との訴えです。「この仕事にどんな意味があるのか考え込んでしまう」といった声を聞きくこともあります。
家族にうつすのではないかと…
IT企業に勤める50歳代男性の事例です。
緊急事態宣言の発令以降、在宅勤務となりましたが、6月末ごろから体調不良となりました。不眠気味でやる気が起きない。イライラする。集中力が続かず、気力が湧かないと訴えていました。
最大の不安は、自分がいつの間にかコロナに感染して、家族にうつしてしまうのではないか――ということでした。勤務先は出社と出張は禁止だったものの、顧客訪問は許されていて、同僚と客先を訪れるのが怖かったといいます。
不安障害と判断されたため、7月から1カ月間の休職となりました。
コロナ禍は人の心にいろいろな不安をもたらします。不安が高じると、不安障害に至る場合があります。原因としては、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン)のバランスの乱れや、恐怖や不安に関係する脳の「扁桃(へんとう)体」の過剰反応などが考えられています。抗不安薬や抗うつ剤などによる治療が可能ですので、気になる症状が認められる場合は、早めにメンタルクリニックなどを受診することが望ましいでしょう。
在宅勤務で仕事量が増加
コロナ禍による仕事量の増減がストレスをもたらすこともあります。テレワークによる在宅勤務など、働き方の変化も大きな負荷となる場合があります。
イベント運営会社に勤める40歳代女性の事例です。
やはりコロナ禍で在宅勤務を強いられていました。リアルなイベントを開催できないため、ウェブ上でのセミナー「ウェビナー」などで代替する必要がありました。これまで手がけたことのない仕事で、かなり仕事量が増えたそうです。