「小4なりすまし事件」大炎上6年、いまSNSに思う「Tehu」こと張惺さんに聞く(上)

2020/8/26
「Tehu」のハンドルネームで生きていた自分を「卒業」したという張惺さん
「Tehu」のハンドルネームで生きていた自分を「卒業」したという張惺さん

灘校時代に「中学生アプリ開発者」「スーパーIT高校生」として多くのメディアに登場し、その言動は常に注目を浴びたが、大学1年のときに友人と起こした「小4なりすまし事件」で表舞台から姿を消した。「Tehu(てふ)」こと張惺(ちょう・さとる)さん(25)。7月に出版した「『バズりたい』をやめてみた。」(CCCメディアハウス)で過去と現在の心境を明かした彼へのインタビュー。前編では新著発行の経緯や、SNS(交流サイト)の世界を今どうみているのか聞いた。

終止符を打てていなかった

――2014年秋、小学4年生になりすまして「なぜ衆院解散の必要があるのか」と世に問うたインターネットサイトが「大炎上」しました。多くの批判にさらされ、表立った発信もなくなりましたが、どうして今のタイミングで本を出したのですか。

「終止符を打ててなかったと思うんです。自分はもう『Tehu』じゃない、別人格です、ということはずっと言っていましたが、僕としてはきちんと明確に『はい、終わりです』と公には言葉にしていなかった。ゴールデンウイークに、そのスピーチの原稿のつもりで書き始めたら止まらなくなりました」

――出版までの経緯は。

「2019年の夏ごろから自分を振り返る機会があったんです。(リーダー育成研修を手掛ける)チームボックス(東京・港)の仕事に取り組みながらずっと『承認欲求』について考えていたのですが、よく考えると一番の観察対象は自分だと気づいて。発信しては『バズる=ネット上で大きな話題になる』ことを求めていた過去を思い起こすと、全部が承認欲求で説明がついてしまう。ウェブメディアの編集者にそんな話をしたら『面白い』と記事にしてくれて、それを見た出版社が本を書きませんか、と。それが12月ごろです」

「最初、本はちょっと大変そうだな、と。しゃべるのは大好きなんですが、長文を書くのは苦手で、『内容が膨らんだら連絡します』と放置していたんです。そこに新型コロナウイルスの問題が起きて少し時間ができ、自分自身でも思考を説明可能な状態に整理したいと思ったんです」

――チームボックス代表の中竹竜二氏は、高校生の張さんに初めて会った時、強気な「Tehu」のイメージと全く違ったと話しています。当時をどう振り返っていますか。

「発信に固執する自分がいました。本当に言いたかったというより、僕が言わなきゃ誰が言うといった変な義憤とか、これ言うとリツイートされるだろうなとか、そういうことに縛られていたと思います」

「言葉にしていると、それが思考になっていくんですね。人間が一番頭を使うのは何かを言葉に変換するプロセスです。思考が言葉になるのと同時に言葉が思考になる、このループは止まらない。本来の自分からどんどん乖離(かいり)して、元の自分の思考を忘れていく、そんな感じでした」

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