違和感をうやむやにしない LINE出沢氏「問う力」「ネット興亡記」に学ぶサバイバル術 (6)

――MBO(経営陣が参加する買収)を目標としていましたが、韓国ネイバーの日本法人に買収されることになります。

「つらいタイミングを乗り越えた強いきずなで結ばれたメンバーで次の勝負をしたいと思っていました。我々としてはMBOをしたかったので、それ以外は(買収元が)どこであれ、一旦はがっかりという感じで、夢破れて、という感じでした」

――LINEが誕生するまでに再び苦しみを味わうことになります。

「LINEが出るまでは、みんなが疲れていくのが手に取るように分かりました。壁に卵を投げつけているような。その壁が倒れる気配もないけど、この卵を投げ続けないといけない。そんな感じでいくつもアプリを出す。でもはやらない。プレッシャーと徒労感で、組織がどんどん暗くなっていきました」

――東日本大震災をきっかけに、LINEが誕生しました。ただライブドアのメンバーは「LDさん」と呼ばれて蚊帳の外に置かれていた面もありました。

「2011年の夏が過ぎたころから、LINEが非常に伸びて、(ライブドア側からも)一部でLINEの仕事にアサインされる人たちが出てきた。そもそもライブドアがやりたかったことは『世界の人たちが使ってくれるような大きなサービスをつくりだすこと』。インターネットの可能性とはそういうことです。エスタブリッシュな会社にはできない、たった数人のチームが世の中を変えるかもしれないという面白さです。LINEはそうなりつつありました。隣にいるのに、それを手伝わない理由はありません」

「2011年末の会議で『みんな分かってますよね。これだけ大きなチャンスがあって乗らない理由がないよね』と言いました。普通の会社はゆっくり方向転換して、時間をかけて説明しますけど、ライブドアで学んだことは、徐々にやっていたら世の中は待ってくれないということ。どこかで急ブレーキを踏んだり、急ハンドルを切ったりすることを恐れてはいけない。それを従業員に向けて分かりやすい言葉で、『LINE or Not』と。重要な宣言でした」

――「夢破れた」というメンバーが国民的アプリを育てるエンジンになりました。絶頂からどん底に落ち、再び時代を駆け抜けることになりました。

「巡り合わせの不思議さを感じざるを得ません。誰も想像していなかった展開です。ピカピカなチームでやってきたわけではなく、みんな失敗を経験して苦しい思いを味わってきました。タイミングや世の中の流れの重要さを感じます。再現性があるかといえば、色々な状況が重ならないとこういうことは起こりません。そこに居合わせた幸運を思います」

「だからこそ、今の苦しさもあります。これからどうやって、さらに成長していくのか。グローバルな観点から、非常に大きな競争になってきます。まだ現在進行形です」

(おわり)

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ネット興亡記

著者 : 杉本 貴司
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 2,200円 (税込み)

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